2015年11月27日金曜日

京都市交響楽団 アシュケナージ ブラームス 交響曲第2番 チャイコフスキー 交響曲第5番 2015.11.22

ブラームス     ★★★★☆
チャイコフスキー ★★★★★★

2015.11.22

出演者:ウラディーミル・アシュケナージ(指揮)

ブラームス:交響曲第2番ニ長調op.73
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調op.64

京都コンサートホール

P席 2000円

アシュケナージさんは、かなり小柄。170センチないのではないか。
指揮ぶりは優しく丁寧。
ブラームスではスコアを見る時間もそこそこあったが(4分の1くらいは見てた)、チャイコフスキーでは、スコアはあるがめくらず。終楽章のクライマックス手前で一気にめくっていた。何を見たかったのだろうか。

ブラームスは、フレーズの出だしに微妙なところはあったが、秀演といえるだろう。もう少し音に重厚さがほしい気がしたが、この曲は、それを求めていない曲なのかもしれない。トランペットの響きが心地よかった。早坂さんか。

チャイコフスキーは、名演だ。重厚かつ明敏な響きで、深刻さ、重さ、重厚さ、活力を歌い上げていた。さすがである。この曲はクラリネットが活躍する曲。小谷口さんの音色はいつ聞いても心地よい。そして、中山さんの名人芸が楽曲を引き締める。
曲が終わって、アシュケナージさんが最初に規律を促したのがホルン。ついでクラリネット、ファゴット。確かにホルンも乱れず安定していた。

この内容で2000円とは、驚きだ。




2015年11月7日土曜日

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 グスターボ・ヒメノ ユジャ・ワン チャイコフスキー ピアノ協奏曲第2番・交響曲第6番 2015.11.7

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第2番 ★★★★★★
チャイコフスキー 交響曲第6番     ★★★★☆

2015.11.7

指揮/グスターボ・ヒメノ
Pf/ユジャ・ワン
管弦楽/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番 ト長調

アンコール(ユジャ・ワン)
ビゼー/ヴォロドス編曲 カルメン
グリュック ズガンヴァーティより メロディー


チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

アンコール(管弦楽団)
シューベルト ロザムンデより 第3幕 間奏曲
チャイコフスキー エフゲニーネオーギンより ポロネーズ

京都コンサートホール
席は2階ベランダ右の後ろの方。独奏者は良く見える。オーケストラも、ほぼ全体を見渡せる。
21000~9000円。ちょうど真ん中のB席、15000円だった。

席の埋まり具合は、9割5分くらいか。
京コンの海外オケでは多い方。
聴衆が多かったのは、多分、コンセルトヘボウだからというよりは、ユジャ・ワンさんだからではないか。

交響曲が終わり、そそくさと帰るお客さんや、1曲目のアンコールでそそくさと帰るお客さんも、けっこう目立ったな。ヒメノさん、アンコールはスコアなしで振っていたので、指揮台に別なスコアがないということは、アンコールの有無の判断材料にはならないと実感した。ただし、演奏者の方々は楽譜を譜面台に置いていた。

ピアノ協奏曲

ユジャ・ワンさんが、ヒメノさんと一緒に登場。
真っ赤な超ミニ、体にぴったりしたワンピースドレスに驚く。後で調べてみたら、珍しいことではないそうだ。
深紅(と思う)のハイヒール。ヒールは15センチくらいかと思ったが、これも後で調べてみたら13センチらしい。
身長が低そうなので(150センチくらいではないだろうか)、ミニドレスの方が確かに映える気がする。

演奏は、素晴らしい。ピアノが生きているようだ。音の輝き、壮大さ、力強さ、そしてうっとりする情緒。
これぞ本物のピアノ。まがい物ではない申し分のない演奏。
オーケストラとも対等に響き合っていた。


交響曲
音の重なりに深みがある。弦も、それぞれの管も、磨かれた音色だ。
ただし、アンサンブルのち密さに難がある。フレーズの出だしが微妙にずれたり。そうそう、冒頭近くでホルンが入るときに、すっきりした音で入れなかった。
曲の作り方は悪くはないが、この曲については、もう少し、心をえぐるような深みがほしい。
10月のロンドン交響楽団の方がよかったな。(しかも安い。)

しかし、ロイヤル・コンセルトヘボウがこの演奏とすると、広上さんが、「京響は世界水準」と言うのもわかる気はする。




2015年11月4日水曜日

千住真理子 バッハ無伴奏ソナタ&パルティ―タ 全曲リサイタル 2015.11.1

★★★☆☆

バッハ 無伴奏ヴァイオリン ソナタ パリティ―タ 全曲

会場 ザ・シンフォニーホール

席は、全席4000円
多分、9割くらいはお客さんが入っていたのではないかな。わりと盛況。

座ったのは、最前列の真ん中付近。弦を押さえる音まで聞こえる。

金色ドレス(生地の影は緑色)と金色の靴。
後ろにはパイプオルガンもあり、雰囲気は、まさにバッハ。

ここぞという強い音のフレーズの前には腰を落として少し前にかがむ。
休憩が2回で3部に分かれていたが、2部と3部の演奏前と演奏後の笑顔が印象的。
最後のシャコンヌの前、恍惚の表情も忘れがたい。

バッハに負けてはいない演奏で、悪くはないとは思ったが、深みは感じられない。

細かいことになるが、時に和音の一部がきれいに入らなかったり、早いフレーズでは聞こえるべき音が聞こえないような気がしたり。音程に?を感じる場面もあった。

この日はデビュー40周年(ということは52歳かな?)記念ということなので、50周年に向けて精進していただけるとうれしい。

そうそう、来年ヒラリーさんが来日してリサイタルをやるようだけど、バッハの無伴奏をやってほしいな。

2015年10月21日水曜日

大阪交響楽団 第197回定期演奏会 篠﨑靖男(篠崎靖男) 金子三勇士 プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 シベリウス 交響曲第1番 他 2015.10.21

細川俊夫    ★★★☆☆
プロコフィエフ ★☆☆☆☆
シベリウス   ★★★★☆

2015.10.21

[指揮]篠﨑靖男
[ピアノ]金子三勇士
[管弦楽]大阪交響楽団

細川俊夫:セレモニアルダンス
セルゲイ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調op.26
ヤン・シベリウス:交響曲第1番ホ短調op.39

アンコール(ピアノ) バルトーク ハンガリーの5つのスケッチ 第1曲

ザ・シンフォニーホール

席 3階バルコニー RRC 指揮者の横 1,000円(高い席は6,000円)
この席は固定椅子ではないため、後ろに動かせる。足を自由に伸ばせるので、とても座りやすい。
聴衆が座っている席は、全体の7割くらいか。バルコニー席は1~2割しか座っていない。
前回の児玉さんのブルックナーがほぼ満席だったのとは雲泥の差だ。

細川さんの曲
不思議な雰囲気で、雅楽の匂いも感じさせる。悪い感じではない。
弦楽合奏だが、ピチカートが時に微妙にずれていたように聞こえた。冒頭を含み。

プロコフィエフ
最初のクラリネットソロ(首席の村瀬司さん)の音色が素晴らしいのに驚いた。ふくよかであり、芯はしっかりしていて透明感もある。しかし、2nd が入るとアンサンブルが乱れ、外れたような音も聞こえたりして興ざめ。
1楽章のピッコロは、音楽ではないような聞こえ方だった。
1楽章の聞かせどころのカスタネットは、ピアノと拍が目立ってずれていたと思う。何故?
ピアノは、「ひ弱」という印象。力強さはもちろん、繊細さも感じられない。聞こえるべき音も聞こえなかったような気がする。ただし、アンコールのバルトークはよかった。光と影。力強さと繊細さも感じられた。
篠﨑さんは頑張っていたが、残念だった。

シベリウス
この曲が名曲だということや、フィンランディアと同時期に作曲されたのだということを認識できるなかなかの演奏だ。指揮の篠崎さんは素晴らしい。オーケストラがもう少ししっかりしていれば名演になった。出だしがそろわなかったり(弦のみのときも含めて)、指揮者の音を止めるようにというような指示があってもすぐに止まらない楽器があったり、ホルンから微妙な音が出たり、終楽章のティンパニのトレモロが、最初はゆっくりでだんだん早くなる不自然さ(作曲者の指示? しかし、他の演奏を聴くと、今日のような極端な変化は聞こえない)があったりしたところが耳障りだった。
曲自体は堪能できたので、よしとしよう。
8月に聞いた藤岡さん指揮、関西フィルの演奏ではこの曲の良さが伝わらなかったが、その不全感は解消された。篠﨑さんの力量はたいしたものだ。






2015年10月16日金曜日

イーゴリ公 ブルガリア国立歌劇場管弦楽団&合唱団&バレエ

★★★★☆

2015.10.15

指揮 グリゴール・パリカロフ
イーゴリ公 スタニスラフ・トリフォノフ
ヤロスラーヴナ ラドスティーナ・ニコラエヴァ 
ガリツキー公 アレクサンダル・ノスィコフ
コンチャク汗 アンゲル・フリストフ た
出演 ブルガリア国立歌劇場管弦楽団&合唱団&バレエ

ボロディン

兵庫県立芸術文化センター

席 2階最前列R寄り 15,000円(5,000~15,000)
全体像はわからないが、2階は9割くらいの入りか。全体では9割余りかな。

最後がダッタン人の踊りというカンターロフ版(カンターロフさんは、ブルガリア国立歌劇場総裁らしい)

全体的には、かなりよい。歌手の存在感もある。ここでも、多くの日本人歌手とは比較にすらならない凄さがあった。
最後のダッタン人(ポロヴェツ人)の踊りは圧巻。1階前方で見るとかなりの迫力だったのではないか。2階からは全体像が見えるという利点はあるが、なにせ、距離がある。
オーケストラがもう一つだったのが残念。精緻ではなく、時にアンサンブルも乱れる。トランペットの音が詰まった感じになったことやチューバの音が出すぎたりしたことも。ホルンの音色はよかったが。






2015年10月13日火曜日

ワーグナー ラインの黄金 飯守泰次郎 ユッカ・ラジライネン シモーネ・シュレイダー ステファン・グールド 東京フィルハーモニー交響楽団

★★★★☆

2015.10.10

ワーグナー ラインの黄金

新国立劇場

指揮 飯守泰次郎

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
Wotan : Jukka Rasilainen

ドンナー:黒田 博
Donner : Kuroda Hiroshi

フロー:片寄純也
Froh : Katayose Junya

ローゲ:ステファン・グールド
Loge : Stephen Gould

ファーゾルト:妻屋秀和
Fasolt : Tsumaya Hidekazu

ファフナー:クリスティアン・ヒュープナー
Fafner : Christian Hübner

アルベリヒ:トーマス・ガゼリ
Alberich : Thomas Gazheli

ミーメ:アンドレアス・コンラッド
Mime : Andreas Conrad

フリッカ:シモーネ・シュレーダー
Fricka : Simone Schröder

フライア:安藤赴美子
Freia : Ando Fumiko

エルダ:クリスタ・マイヤー
Erda : Christa Mayer

ヴォークリンデ:増田のり子
Woglinde : Masuda Noriko

ヴェルグンデ:池田香織
Wellgunde : Ikeda Kaori

フロスヒルデ:清水華澄
Flosshilde : Shimizu Kasumi

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


席 2階の最も後ろ 真ん中あたり 21,600円


歌手は、ユッカ・ラジライネン、シモーネ・シュレーダー、ステファン・グールドをはじめとして、みなさん凄い。日本人歌手もひけをとらずに渡り合っていた。オーケストラも破たんがない。
ただ、前回もそうだったけれど、飯守さんのワーグナーは、私との相性があまりよくないようだ。もっと官能的で、艶やかな演奏を期待してしまうが・・・ もっとも、この楽劇は、トリスタンとイゾルデよりも前に作曲されたそうなので、今回のような演奏で良いのかもしれない。

そうそう、この楽劇は全1幕だ。
1幕というのは、聴く(観る)側にとっても、きつい。とくにこの劇場はレッグスペースが狭く、エコノミー症候群になりそうだった。


2015年10月10日土曜日

京都市交響楽団 広上淳一 ソン・ヨルム プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 シューベルト グレート 他 2015.10.9 第595回定期演奏会

★★★★☆

第595回定期演奏会

日時:2015年10月9日(金)7:00pm 開演

出演者:広上 淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
ソン・ヨルム(ピアノ)

ベルリオーズ:序曲「海賊」op.21
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調op.26
シューベルト:交響曲第8(9)番ハ長調「ザ・グレイト」 D.944

アンコール カブスキン エチュード

会場:京都コンサートホール・大ホール
席 3階 RC 2列目 3500円の定価から、確か1割の会員割引。
ピアニストの顔が見える時間は全体の4分の1くらいか。
ピアノ協奏曲の場合、ソリストを見たいならP席にすべし。

8割5分程度の入りか。このプログラムは金曜日の1日のみの公演なのに、寂しい限り。昨年の、連日売り切れがなつかしい。プログラムも良いと思うが、なぜだろう。営業努力!

さて、本題。
京響は、広上さんが指揮をするときはいつも素晴らしい演奏をする。アンサンブルの乱れはなく、金管の破たんも殆どない。盛り上がりや感動を呼ぶことも少なくない。
本日も、このセオリーは、生きた。
広上さんがいうように、確かに世界水準だ。ただし、ほかの人が指揮するときは必ずしもそうではない。

ベルリオーズ。なじみがなかった曲だが、心地よい演奏。曲も興味深い。

プロコフィエフ。ソン・ヨルムさんは、器用だけれども、もう少し力強さと、音の透明感やきらめきがあった方が良いように思う。良い演奏ではあるけれど、つい、なじんでいるアルゲリッチさんと比較してしまう。もう少し繊細な曲の方が似合うようだ。アンコール曲はとてもよかった。あと、グリーンの背中を出したしどけないドレスはよい趣味だ。おなかもスリム。(ヒラリーさん、ごめんなさい。)
京響も、そつなくこなし、クラリネットの出だしから、管楽器、弦楽器の破たんもなかった。

シューベルト。心地よい、平和と喜びの演奏。ただし、もう少しドラマチックだったらな、という気持ちは残した。

シューベルトは、拍手が速すぎる。少し余韻を味わってからの拍手としてほしい。音が切れる前の拍手は最悪だ。

そうそう、今日初めてすり鉢型の配置にしたとプレトークで広上さんが言っていた。そうした方が音がよくなると確信している様子。客演のときもこのすり鉢型としたいということだ。
こちらは3階バルコニー席なので、音響的にはあまり関係ないような気がするが、奏者の様子が他の奏者に遮られることが少なくなったようで、喜ばしい。

2015年10月3日土曜日

ロンドン交響楽団 ハイティンク ペライア ブルックナー 交響曲第7番 モーツァルト ピアノ協奏曲第24番 2015.10.3

★★★★★★5個を凌駕しているので6個とした)

2015.10.3

[指揮]ベルナルト・ハイティンク
[独奏]マレイ・ペライア (ピアノ)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)

京都コンサートホール

席 P席真ん中あたり 11,000円(S20,000円 A17,000円 B14,000円 C11,000円 D8,000円)
 会員価格9,000円

P席真ん中付近は、ピアニストの横顔と両手もよく見える席だ。ヴァイオリニストには不向きな席だろうが。
2階(普通は1階というのだろうな)の後ろ左右と3階(普通は2階というのだろうな)のかなりの部分が空席。8~9割しか入っていない。いずれ京都や大阪ではこのクラスの興業をできなくなりそうだ。
昨日のウィーンフィルの時に見かけた高級そうな衣服をまとっている聴衆は多くはない。

モーツァルト
キラキラするような、こぼれるような音色で、繊細に奏でられていた。一昨日のウィーンフィルの23番とはかなり違い、心に響く。23番の方が繊細な曲という印象があるが、24番もこんなにも美しく輝くとは。これが一流どころの演奏ということか。
何度も拍手で呼び戻されてペライアさんも少し疲れたようだ。

ブルックナー
これがお手本ともいえる演奏だ。時間は67分くらいで標準的か。
重厚さ、天国的な金管の響き、弦の心地よい響き。深くしみわたり突き動かすような演奏。よく日本のオーケストラにある、拍がひどく合わないということや(微妙なときはあったが)、聞き苦しい音が聞こえるということもなく。国内管弦楽団とは次元が違う。ただ、ホルンの音色も素晴らしい。トランペットとワーグナーチューバが少し雑な感じがしたのが残念。(3楽章、トランペットの「ソーソソシー」のソーソソがつながってしまったところが一か所あったようだ)

ハイティンクさんは、86歳という。信じられない年齢だ。86歳でここまでやれるとは。超人という言葉を思い出す。ブルックナーの時は椅子を用意し、楽章の間に少し座っていた。100歳まで毎年関西に来てほしいと思う。(思いのほか楽譜の方を見る時間が長く、モーツァルトは半分、ブルックナーは4分の1くらい見ていたように思う。)

対向配置。譜面をめくったあとに弓で譜面を押さえるチェロの奏者が何人か(女性も)いた。

隣の植物園



ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 クリストフ・エッシェンバッハ モーツァルト ピアノ協奏曲23番 交響曲第41番 ほか 2015.10.3

★★★★☆
(モーツァルトの交響曲だけなら5つ)
(協奏曲は3つ)

2015.10.2(金)

オーケストラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮・ピアノ/クリストフ・エッシェンバッハ

曲目/モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K. 488
   プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調 op. 25 「古典交響曲」
   モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」

  アンコール モーツァルト 交響曲第34番 第3楽章

場所 フェスティバルホール

席  3階 7列目 真ん中よりL寄り C席21,000円(3番目) (9,000~35,000)
3階は、3,4列目あたりに空席が目立った。多分、26,000円のB席ではないかな。他の階の様子はよくわからないが、見える範囲の空席はなかった。9割くらいは入っていたのかな。
今日の席は許容範囲だ。意外と舞台は大きく見え、上に張り出し等もない。

モーツァルト ピアノ協奏曲
ピアノの音の輝きやこの曲に期待する繊細さや透明感がなく、やや重い感じ。1楽章の最初の方では、私の感覚からすると、ホルンの音が大きすぎ調和を乱していた。もっとも、ホルンの音を大きめにするのがエッシエンバッハさんの好みなのかもしれない。3楽章ではピアノ(私は素人だが)に?を感じた部分が何回かあった。
弦はとてもよかった。あの音色、とくにきらめくような高音部は、他では聞けない。

プロコフィエフ
きびきびとした演奏。この曲、ウィーンフィルではもったいない感じだ。(ごめんなさい、プロコフィエフさん。他に何曲も傑作を作曲していますよね。)

モーツァルト 交響曲
これは、なかなか良かった。ときに宇宙を感じることもあった。ただ、がっちりとした重厚さが十分には感じられない。この曲は、大地に根ざした重厚さが宇宙と響きあう、といったイメージなのだが。ここでも、弦は、素晴らしかった。
ピアノ協奏曲と同じく、ファゴットが絶妙だった。音色といい、音の大きさといい、響きといい、申し分がない。エッシェンバッハさんが受け取った花束を、ファゴット1stの女性に渡したのもわかる気がする。(もっとも女性奏者は、ファゴット1stと、オーボエ2ndの2人だけだったが)

アンコールについては、ないと思っていたが、あったのでびっくり。交響曲41番が終って、その余韻とうまく調和する絶妙な選曲だ。(本質からは外れると思うが、どちらの交響曲にもクラリネットがないという共通点もあるな。)

星が4つとなってしまったのは、もともとの要求水準が高いということも反映している。また、私の感覚としては、去年のドゥダメルさんには及ばない、ということもある。

エッシェンバッハさんは、楽譜を出さずに指揮。74歳という年齢を感じさせない指揮ぶりだ。1stヴァイオリンを向くことが多かったのが印象的。(対向配置)






2015年9月28日月曜日

大阪交響楽団 児玉宏 ブルックナー 交響曲第9番 他 2015.9.28

★★★★☆

2015年9月28日(月)19:00開演
ザ・シンフォニーホール

指  揮 : 児玉 宏(音楽監督・首席指揮者)

フランツ・リスト    : 交響詩「オルフェウス」 
リヒャルト・ワーグナー : ファウスト序曲      
アントン・ブルックナー : 交響曲 第9番 ニ短調
              ノーヴァク版(1951年)

席 右側3階バルコニー 最上段 1,000円
(1,000円~6,000円)
席の埋まり具合は8割5分くらいか。

リストは、情感をうまく引き出していた。コンマスさんのソロもとてもよかった。
ワーグナーも、悪くない。
児玉さんのブルックナーの表情の作り方やテンポは、共感できる。オーケストラも、大きな乱れなく、指揮に促されるように演奏していた。
ただ、大音量で鳴るものの重厚感に欠けるところや、天国的な金管の響きがなかったところ、音の一体感に難を感じる場面もあったことなどは残念だ。
この曲、実はオーボエが活躍する曲だということを生で聞くと実感できた。

児玉さんは、ブルックナーの2楽章、途中からスコアをめくらなくなり、2楽章が終わった後に一気にめくって3楽章にはいっていっていた。そうそう、タクトで時折前を突くようにしていた。つい手が緩んで先端から飛んでいかないかと少し心配だった。トスカニーニのタクトが飛んで、楽団員の目に当たり、失明したという話(真偽はわからない)を思い出してしまった。

これが、ブルックナーシリーズ11回目で、最後だそうだ。当分児玉さんのブルックナーを聴けないとすると、残念。

プログラムを見ると、エキストラの人の方が多いが、質の高い人たちをよく集められたものだ。

この内容で1,000円。1,000円の価値はとても高かった。








2015年9月23日水曜日

英国ロイヤル・オペラ 「ドン・ジョヴァンニ」 2015.9.23

★★★★★★5個が通常の最高だが、これを凌駕しており、6個とした)

英国ロイヤル・オペラ 「ドン・ジョヴァンニ」

指揮 アントニオ・パッパーノ(英国ロイヤル・オペラ音楽監督)

ドン・ジョヴァンニ  イルデブランド・ダルカンジェロ
レポレロ  アレックス・エスポージト
ドン・オッターヴィオ  ローランド・ヴィラゾン
ドンナ・エルヴィーラ  ジョイス・ディドナート
ドンナ・アンナ  アルビナ・シャギムラトヴァ
ツェルリーナ  ユリア・レージネヴァ
マゼット  マシュー・ローズ
騎士長  ライモンド・アチェト

管弦楽 ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

合唱 ロイヤル・オペラ合唱団

日時 2015.9.23 午後5時開演(祝日)

会場 兵庫県芸術文化センター

全部を見渡せなかったが、2階の左右にそこそこ空席があったと思う。5万円の席だろうか。しかし、9割5分くらいは埋まっていたのではないか。東京は満席かな。

席 D 29,000円 3階4列目R側の端 3D 54 前の人と互い違いになっていて、視線が遮られないような設計だ。
音響的には悪い席と思うが、許容範囲。双眼鏡があれば、舞台もよく見える。
ちなみに A \50,000/B \43,000/C \36,000 D \29,000/E \22,000/F \15,000

さて、本題
歌手、オーケストラともに申し分がない。他の団体の公演とは、次元が違う。全ての歌手が素人耳にも高水準。声量、声の美しさともに超一級だろう。(ほとんどの日本人歌手は、歌手とはいえないように思える。)オーケストラも美しい。金管もよく溶け込んでいて、聞き苦しい点は皆無。
演出も嫌味な感じはなく、悪くない。

高いけど、価値はあった。

指揮のパッパーノさんは、チェンバロも奏でていた。途中、マンドリンが活躍したのが印象的。トランペットのお二人は、一時ビットから引っ込んでいて、出番が近づくと戻っていた。

エルヴィーラ役のディドナートさんは、両胸を後ろからわしづかみされ、もまれていた。ハンガリー国立(フィガロ)の時も、胸をまさぐられる場面があった。わりとよくある演出なのだろうか。






2015年9月19日土曜日

京都市交響楽団 タン・ドゥン  モルダワ 水の協奏曲 ウォーター・ドリーミング 4つの海の間奏曲 2015.9.19

★★★★★

スメタナ:交響詩「モルダウ」
タン・ドゥン:水の協奏曲~ウォーター・パーカッションとオーケストラのための(武満徹の追憶に)~
武満徹:ウォーター・ドリーミング~フルートとオーケストラのための
ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」から「4つの海の間奏曲」op.33a

タン・ドゥン(指揮)
藤井はるか(パーカッション)
中山航介(京響首席打楽器奏者/ウォーターパーカッション・アシスタント)
福山直子(京響打楽器奏者/ウォーターパーカッション・アシスタント)
清水信貴(京響首席フルート奏者)


京都コンサートホール・大ホール

右側2階バルコニー28
5000円(S¥6,000 A¥5,000 B¥4,000 C¥3,000)
水の協奏曲は、見た目も楽しそうなので、いつもより奮発した。正解。

お客さんの入りは、8割強くらいか。なじみの少ない曲が並んでいるからだろう。
そうそう、今日は、小谷口さん、高山さん、中野さんはお休みだった。

タン・ドゥンさんは、にこにこ顔で、親しみを感じる。

モルダワ。
名演。最初のフルートからうっとりする。昨日の大フィルとは違うなと思いつつ聴いていた。中川佳子さん、とてもよい。曲の表情、緩急、運び方も申し分ない。こんな素晴らしい曲だったんだ、と感じさせる演奏だ。煩悩が洗い流されるような気がする。タン・ドゥンさんも、目立った指示を送るタイプ。それも楽しめる。

水の協奏曲。
途中、少し単調に感じるところもあったが(単調な刺激の反復は眠気を催させるというのが通説のようだ。)、見た目も楽しめる曲だ。最前列に、打楽器奏者が3人。真ん中と両端。それぞれが水を入れた大きなボウルを前に、水を使って奏でる。まず、観客席の藤井さんが、水のような音を出しながら(金属製のポットのような形のものを弓でこする)、舞台に進み、舞台に上がる。斬新。
残念ながら福山さんは見えない位置だったが、中山さんはよく見える。しかし、練習、たいへんだったろうな。確かに水。汚れのない水。

ウォーター・ドリーミング。
武満さんの曲は、これまであまり楽しめたことがない。しかし、この曲は不思議なリラックスに導く。宇宙に流れる生命の水がテーマらしい。

4つの海の間奏曲も、なじみのない曲だが、よい表情で演奏してくれた。

京響も、今日は、非常に安定していた。
終わったあとの藤井さんの笑顔が印象的。
また、ウォーター・ドリーミングが終わった後の中川さんの高らかな拍手も印象的。清水さんの演奏が素晴らしかったということだろう。

京都の秋の音楽祭始まる


ホールの隣りの植物園






2015年9月18日金曜日

大阪フィルハーモニー管弦楽団 大植英次 マーラー 交響曲第3番 2015.9.18(金)

★★☆☆☆

2015年9月17日(木) 18日(金)
19:00開演(18:00開場)

<指揮>大植英次
<独唱>ナタリー・シュトゥッツマン(アルト)
<女声合唱>大阪フィルハーモニー合唱団
<児童合唱>大阪すみよし少年少女合唱団

<曲目>

マーラー/交響曲 第3番 ニ短調

フェスティバルホール
席2階の最後列 右寄りの7-55
C席 4000円(学生席を除くと、6000~4000円)

ほぼ満席のようだ(3階は見えないが)

冒頭からホルンのアンサンブルの乱れが気になってしまった。その後も時折ホルンのアンサンブルの乱れ。気になり、曲に没入できない。

大植さんの指揮は、去年のマーラー6番と同じ感じで、きれいに聴かせようとしているが、深みに欠けるという印象。
指揮ぶりは、わりとかっこいい。動きがしなやかで、適宜合図も出し、時にコントラバスの方に体全体を向け、時に第一ヴァイオリンの方に体全体を向ける。スコアを譜面台に置いているが、開かない。(何のために置いているのかな。)ただし、ときおり左手でスコアに触り、だんだん左側にずれていっていた。 

高橋将純さんのホルン、ロイド・タカモトさんのトロンボーンは、素晴らしい。ステージ外からのポストホルンも良い音色で格別な味わいだった。アルトのナタリーさんも味わいのある歌声だった。個別的にはよいのだが、全体となると・・・

木管の音色は、好みと違う。どの楽器の音色も京響の方がよいな。

ブラボーという声がけっこう聞こえたが、違和感を感じた。まあ、好みは人それぞれだ。





2015年9月10日木曜日

神戸スーパーソロイスツ ストラヴィンスキー 兵士の物語 2015.9.9

★★★★☆

朴 守賢/Happiness is... 神戸文化ホール委嘱作品(世界初演)
ストラビンスキー/兵士の物語 

神戸スーパーソロイスツ
  ヴァイオリン 萩原合歓
  コントラバス 長谷川順子
  クラリネット 上田浩子
  ファゴット   首藤元(京響)
  トランペット  西島健史(京響)
  トロンボーン 村井博之(京都フィルハーモニー室内合奏団)
  打楽器    高鍋歩(シオン・ウィンド・オーケストラ)

 語り 木内晶子
 兵士 真田幹也
 悪魔 野村たかし
   
中ホール。客は半分くらいか。寂しい。
3500円。自由席

パクさんの曲
 曲の感じは悪くなく、各楽器の躍動も感じる。が、happiness という雰囲気には感じられない。トロンボーンが活躍したsmile は、smileという気もしたが、他はちょっとそぐわないような・・・・ 

兵士の物語
 俳優さんはマイクを装着。音質はかなりすっきりはっきり。
 演奏は、かなりよい。7人だが、かなり広がりのある音を奏でていた。
 とりわけヴァイオリンの音色がとても気に入った。時に暖かく。時に乾いた感じで。時に力強く。
 トロンボーンは、かなり輪郭のはっきりした音を出す。ホルンが入るより良いように思える。
 ただし、トランペットが、弦+木管とずれてたようなところが少しあったような気がするところは残念。
 物語としては今一つかな。楽しめるには楽しめるが。

2015年9月6日日曜日

京都市交響楽団 カサドシュ 萩原麻未 マ・メール・ロワ ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調 火の鳥 他 2015.9.6

★★★★★

日時:2015年9月6日(日)2:30pm 開演


出演者:
ジャン=クロード・カサドシュ(指揮)
萩原 麻未(ピアノ)

曲目等:

ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
  アンコール ドビュッシー アラベスク第1番

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)


会場名:京都コンサートホール・大ホール
席 3階RD1-3
ちょうどピアニストの顔がよく見える位置。左右に少しずれても大丈夫。2階の同じ位置でも大丈夫だろう。
定期で買うならこのあたりがいいな。
席は7~8割埋まっていたのみ。
うまく宣伝してください。もったいない。

プレトークでは、プレトークの経験がないと言いながら、たくさん話してくれた。祖父が音楽家。父は会計士だったが夜は音楽会に出演してギャラをもらっていた。子供たち(10人といったかな)を音楽家にしようと思い、音楽会を終えて帰宅すると子供たちを起こし、音を鳴らして、「今の音は?」と答えさせ、間違えると、叩いた。おかげで絶対音感ができて、音楽家になれた。(絶対音感は不要という人もいるが、実際どうなんだろう。例えば420Hzで絶対音感ができていたとして、422Hzを基準とする場合は、かなり困ることにはならないのだろうか?)
お母さんは今101歳。女優で、もう舞台には立たないが、映画には出演している(すごい)。きょうだいは、作曲家、俳優、画家(だったかな)などなど皆芸術関係に進んでいるという。
開演前に集中したいということで、長めのプレトークを終わった。

カサドシュさんは、楽譜を置くが、あまり見ず、ページをめくるタイプ。これが指揮者の王道のような気がする。左手の指示もけっこう細かい。

まず、マ・エール・ロワ。
煩悩を吸い取ってくれるようなふんわりした演奏。名演と言っていい。

ラヴェルのピアノ協奏曲。
萩原さんは、素晴らしい。姿勢は力技的で、硬い表情で演奏するが、音は宝石のよう。特に2楽章はうっとり。アルゲリッチさんにも負けないような演奏。この曲、最初に鞭の音を入れたのは独創的だと思う。
この曲、生で聞くと、トランペットが活躍するのが印象的だった。早坂宏明さん、いい仕事をしていた。

アンコールのアラベスクも申し分がない。
ただ、萩原さん、深いお辞儀はよいが、軽いお辞儀が様になっていない。舞台への出入りも、20歳くらいの女の人が小走りを交えながらきゃぴきゃぴと出入りしているような風情。まだ、風格がない。誰かお辞儀の姿勢や歩き方を教えてあげればいいのに。この前見たリムさんは、すでに風格があった。

牧神は、指揮者が構える前に、フルートが鳴りはじめたので驚いた。フルートが鳴り始めて少しすると、タクトが動き始めた。カサドシュさんの考えなのだろうが、かなり感心した。演奏も高水準。ぼおっとしながら官能にひたる牧神か。

火の鳥。
悪くはないが、一度、ホルンのソロの入りが濁ったのが気になってしまった。中野さんのファゴットがとてもよい。

総じて、高水準の演奏だった。



2015年8月26日水曜日

HJリム ベートーヴェン ピアノソナタ 8,21,14,23番 2015.8.26

★★★★★★ (5個で名演だが、通常の5個を凌駕しているので6個とした。)

[ピアノ]HJリム

ベートーヴェン:4大ソナタ

ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 「悲愴」 op.13
ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 「ヴァルトシュタイン」 op.53
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 op.27-2
ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 「熱情」 op.57

アンコール 
  ワーグナー、リスト:イゾルデの愛と死
  ショパン:子犬のワルツ
  ショパン:黒鍵のエチュード 作品10-5
  HJリム:アリランファンタジー
  ラヴェル:ラ・ヴァルス

会場 ザ・シンフォニーホール

席 B19 (前から2列目ややL側) 全席3,000円
(1階のみ販売)
後ろをきちんと確認はできなかったが、おおむね満席と思う。

これまで、何十回かベートーヴェンのピアノソナタを聴いたと思うが(何百回はいっていないと思う。まあ、100回くらいはあるかもしれない。)、いい曲と思ったことはあっても、すごい曲だと感じたことはなかった。
今日、その理由がはっきりした。それは、演奏がつまらなかったから。

リムさんの演奏は、とにかくすごい。速さ、感情の起伏。音楽が生きている。長い髪や腕が舞う。緩徐楽章でもぼおっとさせられることはない。表情もとても良い。たまにキーがきちんと押さえられていないこともあったような気もするが、大きな問題ではない。ベートーヴェンさんのメトロノーム指示どおりにえんそうしているそうだが、ベートーヴェンさんも、こんな風に演奏したかったのではないか、という気がする。(曲によっては不可能な速さなので、ベートーヴェンさんのメトロノームはくるっていたという人もいるが、どうだろうか。)

批評家さんの論評には賛否両論あるが、否の方々は保守的にすぎるのだろう。
明日からは、音楽プレーヤーのバックハウスさんを消してリムさんにしよう。

アンコールも、5曲。腱鞘炎にならないのかな、と心配する。いずれも、音楽の精神が乗り移って演奏しているかのような演奏。リムさんの作曲らしいアリランファンタジーの不思議な響きも心地よかった。

終演後のサイン会では、気さくにファンと一緒に写真を写してくれていた。(カメラ持って行けばよかった。スマホはあったけど。)

来年も来てくれないかな。

そうそう、ユーチューブで見た時には、スリムで小柄という印象だったが、実際は、少しぽっちゃりした感じ(太っているわけではない)だったのが意外だった。
見慣れた黒い衣装と長い髪は、そのままだった。パンプスは多分12~13センチくらいのヒール。
そして、拍手を受ける時のポーズは、しっかりと板についていた。







2015年8月18日火曜日

京都市交響楽団 園田隆一郎 小谷口直子 モーツァルト クラリネット協奏曲 ベートーヴェン 交響曲第6番 2015.8.18

★★★★☆


第Ⅰ部
「音楽する脳」茂木健一郎、園田隆一郎によるトーク

第Ⅱ部
モーツァルト:クラリネット協奏曲イ長調K.622
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調「田園」op.68

アンコール モーツァルト フィガロの結婚序曲

2015.8.18

会場 京都コンサートホール

席 2階 L2 36  2,700円(多分1割引)

7割程度の入りと思う

第Ⅰ部
茂木氏は、脳科学の話はほんの3~4分したのみ。2流の芸人の話を聞いているようで、不全感が残る。あと何分、と何度も公言し、意味のない時間つぶしの話ばかりしていた。ベートーヴェンにひっかけて、しばらく前に話題になっていた耳が聞こえるのに聞こえないふりをしていた自称作曲家にも言及したりとか、品位もない。京響の今後の定期演奏会の話や京響の本拠地の話を客演の園田さんに振るって、何を考えているんだか。話のための準備もほとんどしていないことがまるわかり。 いったい何のために呼んだのだろう。

まあ、好きなクラッシック曲を生で聞いた場合に脳内の報酬物質が分泌されるなどという話は興味深いことは興味深いが、単に紹介したのみで、掘り下げようともしない。英語もCDなどはだめで生でないと習得できないとも言っていたな。でも茂木氏の英語学習用CDも朝日出版から発売されていたが、いったいどういうことかな。

さらに、茂木氏は、モーツァルトのクラリネット協奏曲の1、3楽章は、とても幸せな曲調で、19,20歳の人が作曲したならともかく、死の3か月(だったかな)前の人が作曲したとは思えないというようなことも言っていた。これらの楽章が幸せ、楽しさなんて、いったいどんな感性なんだろう。私としては、死をも見据えた透徹した境地としか思えないのだが・・・

園田さんは、よく茂木氏に付き合い、健気なものだ。ベートーヴェンは耳が聞こえないのに、新しい和音を用いたりもしていたという驚くような話も聞かせてくれた。

第Ⅱ部
モーツァルト。
小谷口さんが、ブルーのドレス、髪の毛アップで舞台に出てきて驚いた。いつもの雰囲気とかなり違う。しかも、あまり似合ってないような・・・(まあ、これは主観なので)
演奏は、かなりよい。美しさと繊細さと。暖かさと平常心と。いつもどおりの、好きな音色だ。
3楽章の高音から低音に一気にさがった時の低音が、もうすこし大きく柔らかければ(ライスターさんのように)いうとなし。まあ、演奏家の解釈の違いか。
日本人のソリストと指揮者の組み合わせにしては、極めて珍しく(というか小谷口さん以外には見たことがないが)、演奏後指揮者と抱き合っていたのが印象的。演奏後のにこやかな顔からしても、会心の演奏に近いものだったのだろうな。拍手に応えるポーズは、まだぎこちない。手を広げる時のポーズももっと研究してほしいな。これから、もっと、しなやかに堂々とした雰囲気を現せるようになってほしい。
そうそう、ファゴットの中野さんも印象的だった。きれいな音を絶妙のタイミングで奏でていた。

ベートーヴェン。
これも良かった。とくに非の打ちどころもない。園田さん、第Ⅰ部で京響の音は素晴らしいと言っていたが、その音を、ここでもうまく引き出していた。

フィガロ。
これは名演。澄んだ、屈託のない、天国に近づけそうかな、とでもいうような演奏。さすが、欧州の歌劇場で鍛えている園田さんだ。スキンヘッドのホルンのお兄さんも、とてもよかった。




2015年8月12日水曜日

関西フィルハーモニー管弦楽団 藤岡幸夫 シベリウス 交響曲第1番 菅野祐悟 筝と尺八と管弦楽のための協奏曲 2015.8.11

第1部 ★★★★☆
第2部 ★★★☆☆

2015.8.11

【第1部】
◆アンダーソン:舞踏会の美女
 Leroy Anderson:Belle of the Ball
◆菅野 祐悟:永遠の土【世界初演】
◆菅野 祐悟:箏と尺八と管弦楽のための協奏曲~Revive~ 【関西初演】

【第2部】
◆シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 作品39 【生誕150年記念】
 Jean Sibelius : Symphony No.1 E minor Op.39

アンコール  
エルガー: 2つの小品 第1曲 夕べの歌

指揮:藤岡幸夫
筝 :遠藤千晶
尺八:藤原道山

会場:いずみホール 
    2階席 Lの2列目19だったか。
ほぼ満席。たいしたものだ。着物のお客さんがいつもより多めに思うが、筝をやってる人たちかな。

藤岡さんが指揮台に上がるやいなや、拍手も続いているところに、演奏開始。度肝を抜かれる。
舞踏会の美女が終わると、マイクを持って「司会と指揮は(順番逆だったかな。コンサートの最後で藤岡さんと関西フィルのテレビ番組を宣伝した時は「司会と指揮」と確かにいっていた。)藤岡幸夫」などと話し、また驚き。多分、このシリーズのコンサートのときは、いつもこんな様子でやっているのだろうな。永遠の土は、今日のために委嘱した曲だと藤岡さんが言っていた。

このあと、作曲者の菅野さんから言葉をもらう。中学生のころ頭の中に音楽が鳴っていたが、それは世にない音楽。その音楽をつくりたいので作曲家を志した。天才かも。
さらに、演奏前に、遠藤さんと藤原さんから一言(というかワンスピーチ)ずつ。遠藤さん曰く、演奏前は話したくないが(そうだろうな)「大人の事情で」話すことになったのだという。藤岡さんに頼まれて断れなかったということか。遠藤さんは伝統的な13弦の筝を愛用している、響きが好きだから。今は、オケとの共演も多く、そのため30弦もある筝もできている。この曲は、作曲者の菅野さんが遠藤さんに相談しながらつくった。藤岡さんによると、遠藤さんのための曲。藤原さんからは、3楽章がノリノリなので洋装にしたなどといったお話。

さて、菅野さんの曲。いずれも分かりやすく心地よい曲だ。筝やら尺八やらの演奏を見ていると、けっこうかっこいい。筝の柱を動かして出す音の音程を変えているらしい。不思議な音となる部分もあって、なかなかよい。ただし、協奏曲の方では、演奏者が拍手(というか手拍子というか)する部分がかなり長く、それも何度か出てきていた。楽器の音色が手拍子に隠れたし、しつこかった。
そうそう、筝の音は、力強い響きだった。
筝も尺八もチューニングに加わっていなかったが、いつものことなのかな。


第2部のシベリウス。
藤岡さんはシベリウスが好きだという。
しかし、出だしがきちんとそろらなかったり、出だしの音がへんに大きかったり。藤岡さんが左手を握っても音が切れない楽器がいくつかあったり。
熱演はよくわかるが、深みにかけている印象も。テンポが単調なのかな・・・ それとも曲自体の問題か・・・ よくわからない・・・

2015年7月20日月曜日

PACオーケストラ  歌劇椿姫 指揮佐渡裕 2015.7.20

★★★★★

ヴェルディ 椿姫

ヴィオレッタ: テオナ・ドヴァリ 
アルフレード: チャド・シェルトン
ジェルモン:  高田智宏

指揮 佐渡裕
管弦楽 PACオーケストラ

席 B 4階A44 (最前列) 9000円 (Aは12000円)
満席らしい。

歌手は、主役級3人とも、かなりよい。高田さんは、ドイツのキール歌劇場専属歌手だそうな。並の日本人歌手とは違うということだろう。ドヴァリさん、シェルトンさんも、素晴らしい。ただ、シェルトンさんは雰囲気からいうと脂ぎった中年男性(ごめんなさい)という感じではあるが・・・

管弦楽もほとんどストレスなし。エキストラでホルンの岩井理紗子さんも来ていた。ほとんどエキストラの常連。欲をいうと、オーボエがもう少しなめらかな方が好み。

難は、1、2幕の舞台背面のスクリーンに流れた映像。人が動く動画などもあったが、せっかくの舞台を台無しにしていた。

なんにせよ、オペラを堪能できた。来年が楽しみだ。

それにしても、10回公演で、毎回ほぼ満員とすると計2万人くらいがお客さんになるということ。昔イタリアの人が作った音楽が、今、はるか離れた日本でこれだけ客を集めている。
かなりすごい数字だ。

台風が去り、梅雨も明けて、本物の青空





2015年7月18日土曜日

NHK交響楽団 2015 大阪公演 マイケル・フランシス 樫本大進 ブラームス 二重協奏曲 交響曲第1番 2015.7.18

★★★★☆

[指揮]      マイケル・フランシス
[ヴァイオリン] 樫本大進
[チェロ]     クラウディオ・ボルケス
NHK交響楽団

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 op.102
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68

アンコール ハンガリー舞曲第4番

2015.7.18

会場 ザ・シンフォニーホール

3階 指揮者の真横あたりの3階 LCC

5000円くらい(7000,5000,3000となっている)


やはり、国内オケで、N響は一歩抜きんでている。
特に目立つ乱れもなく、端正に演奏する。
ホルンが目立つブラームスの交響曲1番でも、うまく(一か所女流プレイヤーの出だしが少し大きかった気がしたが.)吹いている。
東京の人がうらやましい。
でも、クラリネット、オーボエ、ティンパニは、京響さんの方が良いな、

二重協奏曲。樫本さんのヴァイオリンは、さすがではあるが、音にもう少し腰の深さがほしい気がした。チェロは素晴らしい。
交響曲。出だしが少しあっさりしていたが、徐々にうまく盛り上がっていた。終楽章のトロンボーンのソフトな音色が心に残る。終楽章は申し分ない。

もう少し重厚な演奏が好みなのと、深みがもう少し欲しかったのとで、★は4つとした。





2015年7月12日日曜日

日本センチュリー交響楽団 十束尚宏 千住真理子 シベリウス チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 他 2015.7.12

評価 ★★☆☆☆

千住真理子 ドラマティック・コンチェルト! ~デビュー40周年記念~

2015年7月12日(日) 14:00 開演
[指揮]     十束尚宏
[ヴァイオリン] 千住真理子
[管弦楽]    日本センチュリー交響楽団

シベリウス:交響詩 「フィンランディア」op.26
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

アンコール  サラサーテ ツィゴイネルワイゼン

会場 ザ・シンフォニーホール

席 3階 RRE4 
4500円(6000,4500,3000となっている。)

P席と、2,3階席のP席近くは、発売しなかったらしい。(すべて空席)
それをのけると9割強の入り。まずまずの人気。

フィンランディア。まずまずの演奏。ちょっと金管が?
 
シベリウス。千住さんの音に伸びや、どっしりした感じがない。時々表面だけ鳴っているような音もする。??という箇所もいくつか。う~ん。及第点に達しない。
2013年11月24日に、兵庫芸文で聞いた、ヒラリー・ハーンとネルソンス、バーミングハム市響の印象がいまだ強い。比較するのは気の毒というものか・・・
でも、頑張ろう、千住さん!

チャイコフスキー。こちらは、うってかわって音に伸びも出て、なかなかよい。京響とやった川久保さんよりはだいぶよい感じだ。しかし、オケが雑。

アンコールは、のびやかに弾いていて、まずまずだった。

4500円は、高いな。3000円の席にすればよかった。



2015年7月9日木曜日

アンサンブル・ウィーン=ベルリン 2015.7.9

★★★★☆

●日時
2015年7月9日(木)19時00分開演
●出演者
アンサンブル・ウィーン=ベルリン(木管五重奏)
 
 カール=ハインツ・シュッツ  (フルート)ウィーンフィル
 クレメンス・ホラーク      (オーボエ)ウィーンフィル
 アンドレアス・オッテンザマー(クラリネット)ベルリンフィル
 リヒャルト・ガラー        (ファゴット)ウィーン交響楽団
 シュテファン・ドール      (ホルン)ベルリンフィル

●演奏曲目
バーバー:「夏の音楽」op.31
メンデルスゾーン:「夏の夜の夢」木管五重奏版
フェルステル:木管五重奏曲op.95
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲「アメリカ」木管五重奏版(シェーファー編)

アンコール 2曲

●会場
  いずみホール
  9割強の入りか。ちらほら空席。

●席
  前から2列目の右端近く
  常時顔が見えるのはシュッツさん(正面)とガラ―さん(横顔)
  たまに人影から離れてホラークさんとドールさんが見える。
  オッテンザマーさんは、後ろ姿しか見えない。残念。せっかく若く、さっそうとしているのに。
  半年ぶりにドールさんを見て、懐かしい気がした。

さて、演奏。音は申し分ない。素晴らしい。
しかし、バーバーの曲にはついていけず、真夏の夜の夢はオーケストラと違ってなじめない。
フェルステル、初めて聞くが、木管五重奏用に作曲されただけあり、各楽器のかけあいなどたのしかった。
ドボルザークは、弦楽四重奏に慣れた耳には新鮮な感じで、1楽章のファゴットが主題を奏でるところなどなかなかよかったが、だんだんいい気持になり、眠気を催した。まあ、眠れそうなほどに心地よい演奏だったということだろう。

先週聞いた金管12重奏の方が、天国的な響きもあって、よかったな。

拍手がやまず、アンコールを2曲演奏してくれた。(曲名知らず。掲示もなし。)こちらは、どちらも楽しめた。1曲目は演奏中に足で床を叩く箇所もあって、なかなかよかった。

そうそう、アンサンブルは見事だが、お辞儀はばらばらだったのが印象的。まあ、お辞儀がそろうことを期待しているわけでもないが。



  
いずみホールへの道

外壁等の改修工事中でした

2015年7月5日日曜日

ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 ザンデルリンク ベートーヴェン 交響曲第5番、第7番 2015.7.4

評価 ★★★★★(★5つ)

2015.7.4(土)

[管弦楽]ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
[指揮]ミヒャエル・ザンデルリンク

ベートーヴェン:歌劇 「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調  op.67

ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92

アンコール ロッシーニ:ウイリアムテル序曲

会場:ザ・シンフォニーホール
席 P席 一番前 真ん中より少し右(座った位置が)

10,000円。一番高いのは12,000円で、二番目の値段

お客さんは8割弱か。
去年のゲルギエフさん(マリインスキー)より、少し多いとの印象。

ザンデルリンクさんは、たまに楽譜に目をやる程度。自動的に? スコアをめくっていくタイプ。
動作はなかなかかっこいい。。1st violin の方を向いて指揮しているときにも、後方のティンパに左手で指示を出したりしていた。

さて、演奏。

フィデリオが始まり、弦の音色の明瞭さに驚いた。

全曲をとおし、音色は重厚。これがドイツのベートーベンとでもいったふうだ。国内オケでは気になるホルンだが、音は安定し、出すぎることも隠れることもなく、さすがである(一度、えっと思ったこともあるが大きなことではない。) 少し気になったのは、5番のファゴットの出だし部分程度。

特に、7番は怒涛のような名演。早く目が覚めてしまったが故の寝不足も完全に吹き飛んだ。
オーボエの運指やらよく見える席でもあり、効果的にオーボエが楽曲に取り込まれていることがよくわかる。残念ながら、奏者(7番の1stは女性)の顔は曲が終わるまで見ることがでいなかったが・・・

7番が終わり、引っ込んでいたトロンボーンの方やらホルンの方やらが再度舞台に。アンコールへの期待が高まる。
驚いたことに、何度目かにザンデルリンクさんが袖から入って指揮台に向かう途中に、トランペットが高らかにうたい、曲が始まった。初めて見る趣向だが、かなり感じはよい。

貧乏な私だが、1万円の価値はあった。




2015年7月4日土曜日

ベルリンフィル12人の金管奏者たち 2015.7.2

★★★★★

2015年7月2日
京都コンサートホール
8000,5000,3000とあって、5000円の席。2階最前列の右寄りだが、特に問題なし。
ほぼ満席
5000円が大きな価値を持つひと時だった。


冒頭、サラさんが、3人の友達を紹介するといい、ジャーマンブラスの○○さん、△△の□□さん、◎◎の◇◇さんを紹介。(つまり、ベルリンフィル9人の金管奏者と3人の仲間、というのが正確)

音は、天国的な響きとでもいうか。音が重なり、一つの虹のようになる。

ある時は澄んだ音色。ある時は太く重厚な音色。ある時はきらびやかな音色。

素晴らしいというほかない。

サラさんが、日本語であいさつしたり、進行したりしていた。たいしたもんだ。でも、We are going to Hollywood. などと英語で言った時のほうがかっこよかったな。
サラさんのホルンも、豊かで伸びのある音で、言うことなし。

曲については、もっとバッハを! と思った。
後半の映画音楽やらタンゴやらも、良いのだが、このメンバーからして、もったいない感じ。

アンコール、2曲やってくれ、大サービス。
1曲目途中から手拍子する人たちがいたが、せっかくの音を妨害するので、感心できない。
2曲目は更なる手拍子。途中でサラさんが手を動かして、やめろ、はじめろ、と合図をしていた。
それにしても、サラさんは愛想が良い。P席や横の席にもきちんとあいさつしていた。天性のものだろうな。ホルンを持ってのダンスは今一つだったが。

2015年6月28日日曜日

フィガロの結婚 ハンガリー国立歌劇場 2015.6.28

★★★★★

歌劇「フィガロの結婚」

日時 2015年6月28日(日曜)午後3時~

ハンガリー国立歌劇場、同管弦楽団 合唱団 ほか

指揮 バラージュ・コチャール Balazs Kocsar

スザンナ オルショヤ・シャーファール Orsolya Safar
フィガロ クリスティアン・チェル Krisztian Cser
伯爵    ジョルト・ハヤ Zsolt haja
伯爵夫人 アンドレア・ロスト Andrea Rost
ケルビーノ ガブリエラ・バルガ Gabriella Balga
バルトロ ゲーザ・ガーボル Geza Gabor
バジリオ ゾルタン・メジェシ Zoltan Megyesi
ドン・クルツィオ ペーテル・キシュ Peter Kiss
アントニーオ アンタル・バコー Antal Bako
バルバリーナ エステル・ザヴァロシェ Eszter Zavaros

場所  フェスティバルホール

席 2階1列15 17500(S席)
ほぼ満席のようだ。

素晴らしい。
歌手は、みな、声の豊かさ、声の良さ、申し分ない。今月初めに見た(聴いた)フィガロの日本人歌手(小林沙羅さん除く)とはかなり違う。人間の声が素晴らしいことを実感できる。
オーケストラも、ストレスほとんどなく(揃わないことが一度気になった)、うまく表情をつけて演奏していた。
これが伝統というものか。
舞台装置も安心して見ることができる。
オルショヤさんは、体やら胸やらを触られていたが、オペラ歌手は半分俳優ということか、と感心した。




2015年6月26日金曜日

京都市交響楽団 小泉和裕 シーララ シューマン ピアノ協奏曲 ブルックナー 交響曲第4番 2015.6.26

シューマン   ★★★★★
ブルックナー ★★★☆☆

第591回定期演奏会

日時:2015年6月26日(金)

出演者:小泉 和裕(指揮)
     アンティ・シーララ(ピアノ)

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調op.54
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ノヴァーク版第2稿)

会場:京都コンサートホール・大ホール
席 3階 一番上 C3だったか。指揮者の横。ピアニストの表情も(上からだけど)見えてラッキー。

9割強の入りか。当日券を発売だという。

シューマン。
ピアノは、透明感や輝く感じがあって、素晴らしい。欲を言うと、要所でもう少し音量があったら。
京響も、弦がクリアで、とてもよい。
小泉さんは暗譜(ブルックナーも暗譜)で指揮。タクトは持っていた。この曲の情緒が感じられた。

ブルックナー。
ここで、クラリネット、オーボエ、ファゴットに首席が登場。フルートは首席から中川佳子さんにかわった。
ときどき、クラリネット、オーボエ、フルートの1st 3人で演奏することがあった。上から見るとこの3人が3角形にもなっていて、絵になる。
小谷口直子さんと中野陽一郎さん、中山航平さんの3人の3角形を見ると、京響らしさを感じる。
ここでも弦がクリア。木管の音色もうっとり。
1stホルンは、首席の垣本昌芳さんなのかな。冒頭で音がしっかり変わらなかった(ひょっとして意図的だったのかな。)のと、3楽章でホルンパートが少し不安定になった。許容範囲といえばそうかもしれないが、満足はできない。2年くらい前だったかに聞いた名古屋フィルのホルンと比べれば、かなり良いのだが。
ホルンを除くと、小泉さんの音楽の作り方も含め、深みも感じ、かなり良い。


2015年6月21日日曜日

PACオーケストラ  ユベール・スダーン マイケル・コリンズ ウェーバー クラリネット協奏曲第1番 シューマン 交響曲第2番 他 2015.6.21

評価 ★★★☆☆

兵庫県立芸術文化センター管弦楽団第80回定期演奏会
2015.6.21(日曜)

出演者
   指揮 ユベール・スダーン
      クラリネット マイケル・コリンズ
   管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

プログラム
     ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
    ウェーバー:クラリネット協奏曲 第1番 ヘ短調 op.73, J.114
    シューマン:交響曲 第2番 ハ長調 op.61 (マーラー編曲版)
  
 アンコール曲
    クラリネット :ベールマン作曲 クラリネットと弦楽のためのアダージオ
    オーケストラ:シューマン作曲 ヨゼフ・シュトラウス編曲 トロイメライ

場所 兵庫県立芸術文化センター

席 2階 最前列 真ん中あたり
3,000円(定期会員)

ほぼ満席のようだ(全席を見渡せないが)

生き生きしたオベロン序曲で期待が膨らんだ。ホルンには、エキストラで岩井理紗子さんが加わっていた。クラリネットの東さんは、3年が過ぎ、東京芸大大学院にもどったそうだ。

クラリネット協奏曲は、心地よい演奏。ただし、音色は私の好みよりも硬い。

さて、シューマン。1、2楽章、スダーンさんは楽譜の方ばかり見ていて、演奏も、音は流れるが、心が入っていない。3楽章で少し盛り返し、4楽章はドラマチックに持って行ったが(スダーンさんが前や横を見る時間も増えた)、単に、格好つけたといったふう。弦も音があまりクリアでない。
2013年11月にあった京都市交響楽団定期演奏会(指揮:広上淳一さん)の素晴らしかった演奏がなつかしい。

アンコールのトロイメライ。主旋律を四方恭子さんが奏でる。素晴らしい音色でうっとり。最後はよい気分になれた。

次のシーズンは定期会員をやめている。いつになるだろう、次にPACを聴くのは。






2015年6月6日土曜日

歌劇「フィガロの結婚」-庭師は見た! 指揮・総監督 井上道義 2015.6.6

★★★★☆

歌劇「フィガロの結婚」-庭師は見た!

日時 2015年6月6日(土曜)午後2時~

指揮・総監督 井上道義
演出 野田秀樹

管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

アルマヴィーヴァ伯爵 ナターレ・デ・カロリス
アルマヴィーヴァ伯爵夫人 テオドラ・ゲオルギュー
スザ女(スザンナ) 小林沙羅
フィガ郎(フィガロ) 大山大輔
ケルビーノ マルテン・エンゲルチェズ
マルチェ里奈(マルチェリーナ) 森山京子
庭師アントニ男(アントニオ) 廣川三憲

場所 兵庫県芸術文化劇場

席 4階最前列 真ん中付近 9,000円(高いほうから2番目)
ほぼ満席のようだ。

これは、「フィガロの結婚」ではなく、「フィガ郎の結婚」といった方がいい。
部隊を黒船が来た長崎とし、伯爵夫婦と伯爵家で働くケルビーノの3人が外国人で、他は日本人という設定。日本人は、日本語で歌うことも多い。歌詞と字幕は全て野田さんの手になるらしい。歌詞がきちんと音符にマッチしている。大したものだ。
「庭師は見た」の庭師のモノローグもなかなかに良い。
フィガロに、日本で新しい命を吹き込んだといってよいのではないか。
かなり楽しめる演出になっている。
途中、指揮の井上さんにもセリフがあったのには驚いた。極めて斬新。(結婚祝いの額の話になったとき、「高いよ。10万円」というようなことをとおりの良い声で言っていた。

外国人3人と、小林沙羅さんの歌唱はかなりのもの。森山さんもまずまずだが、他はもう一息か。大山大輔さんの声はオーケストラに負けていた。他の日本人歌手は、更に負けていた。

PACの演奏は、特にストレスなく聞けた。ほっ。

井上さんは、食道がんの手術の後のはずだが、例によって、愛嬌とエネルギーがあふれているふうだった。さすがだ。

反省すべきだったのは、3000円をケチらないで、ワンランク上の席にしておいたほうがよかったかな、ということ。

2015年5月17日日曜日

PACオーケストラ ネヴィル・マリナー メンデルスゾーン 交響曲第3番 スコットランド 他

評価 ★★★★★

兵庫県立芸術文化センター管弦楽団第79回定期演奏会
2015.5.17(日曜)

出演者
   指揮 サー・ネヴィル・マリナー
   管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

プログラム
   ハイドン:交響曲 第96番 ニ長調 「奇蹟」 Hob.I:96
   ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲
   メンデルスゾーン:交響曲 第3番 イ短調 「スコットランド」 op.56
 アンコール曲
    メンデルスゾーン作曲:交響曲第5番 ニ長調 op.107 「宗教改革」 第3楽章

場所 兵庫県立芸術文化センター

席 2階 最前列 真ん中あたり
3,000円(定期会員)

完売というが、ぽつぽつ空席あり。
金、土、日の3回公演で、この収容力のホールで売り切れというのはけっこうすごいことだ。


マリナーさんは、91歳という。
歩き方は少しこころもとない(91歳にしてはかなりしっかりしている。)が、指揮台に立つと、しっかりとした存在感で、音楽を生み出す。すごいことだ。

ハイドンとティペットは、無難に終った。ただ、弦楽器の音がややはっきりしていなかったり、ピアノで(弱く)演奏する部分が少し雑なように思えた。

そして、メンデルスゾーン。
これは、曲が始まった時から、終る時まで、名演。
トランペットの微妙なところが少し気になったが、そこは全体からみると瑣末なこと。弦楽器の曖昧さもない。
こんなにも心に響くメンデルスゾーンがあったのだろうか。
京響の名匠、ファゴット首席の中野陽一朗さんが加わっていた。メンデルスゾーンの2楽章と4楽章の、ファゴットとクラリネットのかけあい、とてもよかった。東紗衣さんの、なまめかしく肩が揺れるクラリネットもいいね。(音色はやはり京響の小谷口さんがいいな。)
終ったあとは、拍手、拍手。いつもの演奏会よりも、大きな拍手だ。
曲の後、まずクラリネットの東さんに、マリナーさんからの、立って、の合図。次の合図で、中野さんと、オーボエのアナヒドさんが同時に立った。ここは、アナヒドさんの勘違いだろうな。

そして、驚いたのは、アンコール。あるとは思っていなかったので、驚き。91歳? おそるべき、観客へのサービス精神。

マリナーさんとコンサートマスター(大フィルの田野倉さん)が去った後、木管の人たちが互いに握手したり抱き合ったりしていた。やはり、素晴らしい出来だったと感じたのだろう。外国人は男女問わず抱き合ってたが、東さんは男性とは抱き合っていなかったような。やはり、そこは日本文化か。


2015年5月10日日曜日

京都市交響楽団 下野竜也 コリリアーノ:交響曲第1番 他 2015.5.10

評価 ★★★★★
京都市交響楽団 第590回定期演奏会 
2015.5.10 (日曜)

出演者:
下野 竜也(常任客演指揮者)
ミッシャ・マイスキー(チェロ) 
サーシャ・マイスキー(ヴァイオリン) 
リリー・マイスキー(ピアノ)

ベートーヴェン:ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲ハ長調op.56
アンコール:ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」 第2楽章

コリリアーノ:交響曲第1番

席 2階 R2-39
4,100円 (と思う。何故か、いつもよりも高い席を買っていた。)

埋まっている席は8割くらいで、いつもよりも少ない。
今年から、一部2回公演(今日の演奏会は2回公演)となったことと、曲があまり知られていないことが原因か。

プレトークに遅刻してしまったが、下野さんは、来年は、もっとマニアックな曲をやると話していた。また、この曲は、同じ部分でも、楽器によって異なるテンポで演奏するところがあるという。それで、指で「1」とか「2」とか示すそうだ。楽器によって異なるテンポというのは画期的な感じだ。

ベートーヴェンは、あっさりした演奏。ピアノにもっと強さがほしかった。

コリリアーノは、はじめて聞いたが、すごい音楽だ。
プログラムによると、友人をエイズ(当時不治)で亡くし、「失った友人を音楽の中に記憶としてとどめるために、最初の3つの楽章にそれぞれ3人の友人の思い出を刻んだ。」「さらに他の友人たちもキルトのように旋律を編みあわせた。」交響曲。
怒り、思い出、狂気、つながり。そして、追悼。
下野さんは、京響を完全に掌握し、コリリアーノの世界をつくっている。
この演奏会、どうしようかと思いはしたが、下野さんがこの曲を傑作としているとの宣伝文をみて、下野さんがそう言うなら聞かないとね、ということで、聞きに行った。大正解。

演奏後、下野さんは多くの奏者に立つことを促したり、握手したり、スコアにも拍手をと促したり。下野さんにとっても意義深い演奏になったのだろう。



本日のコンサートホール隣の植物園。前回咲いてたツツジは、もうおしまい。









2015年4月25日土曜日

Trio Pathetique 中山航介 小谷口直子 村中宏 トリオ・コンサート 2015.4.25

評価 ★★★★☆

クラリネット 小谷口直子(京都市交響楽団)
パーカッション・ピアノ 中山航介(京都市交響楽団)
ファゴット  村中宏(京都市交響楽団)

パーカッション(賛助出演)角 武

ベートーヴェン クラリネットとファゴットのための3つのディオ より 第1番
グリンカ Trio Pathetique (悲愴三重奏曲)
ほか

会場 京都コンサートホール 小ホール(アンサンブルホール ムラタ)

席 前から5列目くらい 真ん中近く。幸い前列に人はなく、開放的な雰囲気となった。

自由席で、2700円(会員価格。正規は3000円)

お客さんは半分くらいか。残念。

楽しく、心地よいコンサートだった。
いつも、ティンパニで感動をくれる中山さんは、実はピアノも達者。最近聞いた横山幸雄さんよりも感じがよく、音楽的に勝(まさ)っているようだ。
小谷口さんも、いつものようなうっとりする響き。(速いパッセージできちんと聞こえないところがあったような・・・)
村中さんも、実は達人(「実は」などと失礼な言葉だな。ごめんなさい。)だ。
はじめて聴く曲がほとんどだったけど、曲としては、ソロマリンバのための「マーリン」が、宇宙的とか原初的とかいえそうな響きで、心に残る。あんな音楽をよく作曲できると感心。また、スティック4本持って、左右に動きながら、よく演奏できるなとも感心。

演奏の後、小谷口さんがいつも満面の笑みを浮かべていたのも印象的。クラリネットと打楽器のためのソナタのあと、中山さんと小谷口さんが抱き合ってたのも記憶に残りそうだ。あと、プログラムが終ってアンコールの前に、京響の会員になるよう中山さんが勧誘していたときに「てんぱって」と言って村中さんが替わって続けてもいたな。
そうそう、村中さんが、マイクを使った曲(TRaInspOrt)のあとで、最初からしくじったというようなことを言っていたが、どこをしくじったのか全くわからず。(知らない曲を聴くことのメリットだね。失敗が気にならない。)

服装は、小谷口さんが、ベージュ(白?)のパンツと、ベージュに牡丹のような花がいくつかかかれたワンピース?(少し中国風か)。男性は、黒いパンツにダークグレーのシャツ。意外と中山さんは中年体型になってきているなどと感心していた。

まあ、楽しい雰囲気で、良かった。
来年もあるといいな。


駅からホールに至る途中の植物園。ツツジが満開


三階は、さすがに眺望が素晴らしい。
ところで、
京都大学生存圏研究所とこの3人の音楽家とはどんなつながりなのだろう


2015年4月19日日曜日

ランスへの旅 指揮 アルベルト・ゼッダ ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団

評価 ★★★★★

ランスへの旅 ロッシーニ

日時 2015年4月18日(土曜)午後3時~

場所 フェスティバルホール(大阪)

席 3階1列32(S席) 17,000 (1,000円割引)

ほぼ満席らしい(2階席は見えなかったが。)

曲も、オーケストラも、歌手も、よかった。素晴らしい。
これぞ音楽の醍醐味。

指揮のゼッダさんは、ロッシーニの権威で87歳という。背筋が少し前かがみになってきているが、まず2時間、休憩25分をはさんで45分、指揮をしていた。「凄い」に尽きる。
オーケストラは、かなり良い。東京の新国立劇場で演奏を聴いた某オケとは段違いだ。(ワーグナーの方が、演奏が難しいのかもしれないが。)
歌手。外国人若手3人は、ちょっと音が不安定だったところもあったようには思うが。かなり良かった。日本人も、伊藤貴之さんはそれに負けず。老田裕子さんと石橋栄実さんもよかったが、ターチャ・ジブラッゼさんやイザベラ・ガウディさんが外に出す声量が10とすると、9くらいの感じだった。日本人の限界なのかな。






2015年4月13日月曜日

読売日本交響楽団 シルヴァン・カンブルラン ブルックナー 交響曲第7番 他 2015.4.12

評価 ★★★★☆

指揮=シルヴァン・カンブルラン
バリトン=小森 輝彦

リーム:厳粛な歌-歌曲付き <日本初演>
ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調

会場 東京オペラシティ コンサートホール

席 3階R1-42

6割くらいの席が埋まっている程度。思ったより、かなり空席が多い。
また、この席に普通に座ると、舞台の半分弱しか見えない。

リームは、感じは良いが、いまひとつ良く分からない。

ブルックナー。
演奏時間は約61分。けっこう速め。
演奏は悪くはないが、感動するには至らない。宇宙的な響きやどっしりとした感じが、足りない。
フルートとクラリネットは良い音だった。弦もきちんと鳴っていたと思う。
金管はけっこう雑。ホルンの出だしで音が大き過ぎたところや、トランペットがちょっと雑なことがあったところや、ワーグナーチューバの出だしが微妙だったりしたところなど、気にはなったが、管楽器がひどく外すことはなかったように思う。
京響さんやら大フィルさんやらと水準はあまり変わらないようだ。

カンブルランさんは、時々楽譜を見る。ページをめくるのは半自動的なときと、楽譜を見ながらという時とがあった。大柄で、動作はしなやか。見ていて感じのいい動きだ。



東京オペラシティ地下1階にはこんな空間がある

2015年3月29日日曜日

京都市交響楽団 高関健 滝千春 ショスタコーヴィチ 交響曲第8番 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番 2015.3.29

評価 ★★★★☆

京都市交響楽団 第588回定期演奏会 
2015.3.29 (日曜)

指揮      高関 健(常任首席客演指揮者)
ヴァイオリン 滝 千春

モーツァルト    :ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調「トルコ風」 K.219
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調op.65

席 3階 RB2-7

完売ということだが、例によって、席が埋まっているのは9割程度
打楽器が、向かって右側の配置となって、席から見えないのが残念。かわりにコントラバスが後ろで、よく見えて、音もよく響くかんじだ。

京都コンサートホールの会員更新手続きで少し時間がかかり、ホールに入ると、高関さんのプレトークが始まっていた。最初の方を聞き逃し、残念。8番は、5番を発展させた内省的な音楽と言っていたような気もするが、記憶は定かではない。(8番は戦争の負の面を描こうともしていると理解しているが、正しいかな?)

モーツァルト
なかなか良い。滝さんのヴァイオリン。少し音色が硬い(特に高音)印象で、ときに聞こえるべきと感じた音符がきちんと聞こえないこともあるにはあったが、また、力強さももう少しほしいとも思ったが、許容範囲。写真の印象が実際に見たときの印象とがあまり違わないものよい。ドレスは、グレー地に紫と赤の模様。シンプルではない。
高関さんは、タクトを持たずに指揮。背をまるめて半分くらいは下(楽譜の方向だろうな)を見ているので、あまりかっこうはよくない。
なんにせよ、昨日(名古屋の「子どもと魔法」)の疲れが癒された。

ショスタコーヴィチ
かなり良い。緊迫感や重々しさもうまく出ている。クラリネットが素晴らしい。3楽章の叫びとか、終楽章のソロとか、かなり良かった。いつもながら、木管はいいね。金管は若干「?」もあったが。トランペットソロで上手く音が出なかったところもあったような・・・  
高関さんは、音楽をきちんとつかんで演奏している。(私は勝手に気分を高揚させて戦争に行っても、結果はうれしいものではない、というかんじがうまく出ている、と思っているが。)
高関さんは、タクトを持って登場。ここでも半分程度は下の方を見ている。背は丸めている。しかし、2楽章で、目線をあげて振ったときは、とても感じがよかった。いつもそんな感じでやればいいに。

5個の「名演」には、あとちょっとという印象なので、4つにしたが、素晴らしい演奏だった。
植物園に面した通路から見た梅?

同じく、桜

雨降り

2015年3月28日土曜日

小澤征爾音楽塾 オペラ ラヴェル 子どもと魔法 ベートーヴェン 交響曲第2番 2015.3.28

評価  ベートーヴェン 交響曲第2番 ★★☆☆☆
     ラヴェル オペラ 子どもと魔法 ★★★☆☆

日時 2015年3月28日 午後2時~

音楽監督・指揮(ラヴェル) 小澤征爾
指揮(ベートーヴェン)   ナタリー・シュトゥッツマン
演出               デイヴィッド・ニース
管弦楽            小澤征爾音楽塾オーケストラ
子ども               エミリー・フォンズ

会場              愛知県芸術劇場大ホール


5階 前から4列目27
かなり見にくい。しかも、前の人が何人か前のめりになって、かなり視界がさえぎられた。
C席10,000円だったが、もっといい席にすべきだった。(ロイヤルオペラ、安い席にしたが、大丈夫か?)
指揮ぶりが見えると宣伝にあったが、この席からだと全く見えない。最低。見えない席だと明記してほしい。
客は、ほぼ満員のようだ。(全体を見渡せていないが)

交響曲の演奏の途中で入ってくる人がいたりと、職員がきちんと客を管理できていない。前のめりにならないようかるく注意はしているが、「安全のため」などと言っている。ちゃんと個別に、後ろの人が迷惑だといって注意すべき。

さて、ベートーヴェン。
よくトレーニングして、演奏しているな、と感じたが、それだけ。(あまりに離れているのでちゃんと聴けてないのかもしれないが。)音符や強弱記号の羅列。途中で演奏者が替わっていたな。まあ、塾生なので、それぞれ経験を積んでということか。

ラヴェル。
主だった歌手は、わりと良い。先日の後宮からの逃走よりも良い。
演奏にも、生気が加わった。
ただ、ストーリーがいまひとつだ。
主人公が、中途半端な感じ。自由にやりたいというなら、徹底してみてほしい。
小澤さんは、カーテンコールの時見たのみ。笑顔が良いが、背筋が伸びないのは、もう80歳という肉体の限界なのだろうか。

席が良かったら、が増えていたかもしれない。


終了後、午後5時すぎの水の宇宙船下。今日から桜も咲き出した。






名古屋フィルハーモニー交響楽団 下野竜也 ブルックナー 交響曲第1番 他 2015.3.27

評価 ★★★☆☆

名古屋フィルハーモニー交響楽団 第422回 定期演奏会 2015.3.27


曲 松村禎三 交響曲第1番
   ブルックナー 交響曲第1番

指揮  下野竜也

会場 愛知県芸術劇場 コンサートホール
席 P2 67

料金 4,100円(6,200~3,100円)

6割くらいの入りか。3階はガラガラ。1列分プラスアルファ程度。
京響名古屋公演の方が、お客さんは多かったな。
寂しい限りだ。
名古屋近辺のクラシックファンの人は少ないということだろう。それにしては、ブラボーおじさんがやたら多い気がした。

名フィルの演奏会は、昨年2月に続き2度目。昨年のブルックナーがあまりにひどかったので、その後は聴かず。しかし、ひどいオケというイメージが残るのもよくないかと思い、2度目のブルックナーの演奏会に行くことにした。
結果、幸いなことに、ひどいオケというイメージは払拭された。

睡眠不足が続き、しかも仕事の後という、最悪のコンディション。

下野さんは、小柄でずんぐりした体格だが、指揮のスケールは大きい。頭頂あたりの頭髪がさびしくなってきていることに、はじめて気づいた。
楽譜を置いているが、ほとんど見ず、ページめくりのときがくると、楽譜に手が伸びて楽譜をめくる、というサロネンさんのようなやり方。これが、指揮の王道のような気がする。前を向いているから背筋が伸びて、大きく見える。


松村さんの交響曲第1番。はじめて聴く(たぶん)l。嫌な感じの曲ではないが、「これって何?」といった感想を持つ曲。雅楽の雰囲気を取り入れている感じかな。オーケストラって、こんな音もでるんだ、とう感心した。しかし、2楽章になると、時々眠気に誘われる。大きな音が鳴ると、目が覚めるので、すこしうとうとした程度だろう。


ブルックナー。演奏は、まずまず。1年前に聴いた、このオケのブルックナー4番に強い失望感を持ったが、その時と較べると、かなり進歩している。前回外しまくっていたホルンの首席さんも、素人にわかるようには外していない。音色もかなりきれいだ。感心。(4番ほどホルンが目立つ曲ではないが。)ただし、第2楽章のような緩徐楽章では、金管の音の出だしがずれていたり、アンサンブルがいまひとつなのがはっきりしたが、全体的には、悪くはない。もっとも、緩急や強弱はあったものの、宇宙的な響きや、時に心をえぐるような緊張感は、ない。クラリネットの首席さん、音色はよいが、ちょっと雑な感じがした。
下野さんの音楽つくりには、好感が持てる。


愛知県芸術劇場前の水の宇宙船。
今日は白。以前見た、青の方が迫力を感じる


2015年3月23日月曜日

後宮からの逃走 現田茂夫指揮  佐藤美恵子 錦織健 市原愛 高柳圭 ほか 2015.3.22

2015.3.22

モーツァルト 後宮からの逃走

評価★★★☆☆

十川稔 (演出)
現田茂夫 (音楽監督・指揮)

ザ・カレッジオペラハウス管弦楽団

佐藤美枝子 (コンスタンツェ役)
錦織健 (ベルモンテ役)
市原愛 (ブロンデ役)
高柳圭 (ペドリロ役)
志村文彦 (オスミン役)
池田直樹 (太守役)


場所 フェスティバルホール

席  2階 前から1列目 右の方48 見やすい
S 11,000円

かなり空席。2階は1列プラスアルファ程度しかいない。
1階は、よく見えないが、8~9割?
3階はひょっとして、かなり入っていたかも(お値段の関係)。見えなかったけど。

夏の佐渡さんのオペラは、多分、毎回ほぼ満席なのだろうが、それと比べるとさびしい。

このホール、足の前のスペースが、あまり広くない。芸文くらいのスペースがあればいいのに。新国立劇場よりは広い感じ。


オペラは、歌が快感として聞こえてこないといけないが、それが、ない。
佐藤美枝子さんの声は、厚みというか、豊かさがない。特に、高音は、細く、ふくよかさがない。
高柳圭さんは、これがオペラ歌手? という声。力強さが感じられない。厚みもない。演技力はあるけど。
有名らしい錦織さんも、もう一歩だ。

台詞が日本語となっているのは、よくも悪くもない。分かりやすいといえば分かりやすいが。変にうけを狙った言葉もあり、違和感を感じる。(もっとも、モーツァルトが作曲した当時も、うけをねらったギャグ的な言い方をしていたのかもしれないが。)

最後の方の、復讐しても憎しみのサイクルを繰り返すだけ。赦すということをやっていかないと争いは終らない、という意味合いの台詞は、今風で、心に響く。

オーケストラは、無難。
現田さんは、歌が終るごとに拍手してたな。

楽しめたといえば楽しめたので、よしとしよう。ちょっと高いけど。



2015年3月21日土曜日

ベルリン放送交響楽団 マレク・ヤノフスキ ブルックナー 交響曲第8番 西宮公演 2015.3.21

評価 ★★★★★5個が最高)

2015.3.21

指揮 マレク・ヤノフスキ
演奏 ベルリン放送交響楽団

曲  ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調

会場 兵庫県立芸術文化センター

席 3階 3C53

C席 6,000円 (一番高いのは A 12,000)

海外オーケストラとしては、安めの設定。まあ、ネームヴァリューがもうひとつということか。でも、シャイーさんとのブルックナーとの録音とか、かなり良いと思うが。

久しぶりの最前列ではない席。しかし、端の方なので、前の人と互い違いになっていて、あまり気にならない。また、全体が見渡せてけっこうよい。足元も気にならないスペースがある。
この位置、けっこうお勧めかも。お値段も良心的。

席は、ざっと9割くらいの入りか。

ヤノフスキさんは、暗譜。動きは激しくないが、存在感がある。

演奏は、やはり、日本の(というか関西の)オーケストラとは、質と次元が違う感じ。
(最近聞いた関西フィル、少し前に聞いた大フィルとは比較にならない。2年くらい前だったかに聞いた京響・井上コンビはかなりよく、比較できるが、今日のベルリン放響さんの方がいいな。)

どっしりとした枠組みの中で、時に快活に、時にしんみりと。心を動かすようなテンポ。

時に、弦のえぐるような感じとか、芳醇で甘い香りとか。
クラリネット(男性、白いテンプルのメガネ)が、これまで聴いたことがないような、太く、優しい音色。こんな音を出せる楽器だったんだ。
オーボエ(女性)がうっとりするように体を揺らせて心地よい音色で吹いていた。オーボエのベルアップも印象的。
金管もかなり良い。ホルンはホルンらしい音色で、外すこともなく。トランペットの輝きが素晴らしい。トロンボーンも安定してた。

3、4楽章で、ホルン(ワーグナーチューバ)の入りが粗雑で細やかさに欠けるところが4回くらいあったが、あとは申し分なし。
ブルックナーは、こうでないと。

演奏後、ヤノフスキさんは、表情をゆるめず。演奏者を立たせることもなく。かたい人?

2015年3月15日日曜日

兵庫芸術文化管弦楽団(PACオーケストラ) ガエタノ・デスピノーサ  リーズ・ドゥ・ラ・サール ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 シベリウス 交響曲第2番 2015.3.14

評価 ラフマニノフ ★★★★★
    シベリウス  ★★★★☆

兵庫芸術文化センター管弦楽団 第77回定期演奏会 2015.3.14

指揮   ガエタノ・デスピノーサ
ピアノ   リーズ・ドゥ・ラ・サール

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 op.30
アンコール  JSバッハ 主イエス・キリスト、われ、汝を呼ぶ

シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 op.43
アンコール デスピノーサ アンダンテ・フォー・ドミートリ(ショスタコーヴィチへのオマージュ)

会場 兵庫県立芸術文化センター


席   2階 A24  4,000円

     完売ということだが、少し空席あり

ラフマニノフ。
ややゆったりと始まる。最初から、ピアノに魅了される。音色がやさしく、かつ広がりもあり、時に輝く。情緒がうまく音色に現れている。荒削りな感はあるが、素晴らしい。(途中、不協和音でないはずのように思っていたところに不協和音が聞こえたり、旋律よりも伴奏の方が強く聞こえたりしたが、それはそれ。) リーズさんは、ロリン・マゼールさんやら、ビシュコフさんやらとも共演しているというが、伊達ではない。

終った後、デスピノーサさんとサールさんは抱き合って、デスピノーサさんは左右の頬にキスしていた。欧米では当たり前の風景なんだろうな。

シベリウス。
デスピノーサさんの指揮は、大自然からとも感じられる響きや、躍動感、情感を引き出し、素晴らしい。オーケストラが十分指揮に応えていれば、名演だったろうに、惜しまれる。最後近くのホルンがかけあう聞かせどころで外したので(トップのヘントンさんは安定していたようだが)、声を出して失笑してしまった。近くの人、ごめんなさい。

デスピノーサさんは、オーケストラメンバーにも何度かきちんとしたおじぎをしていた。細やかな気遣いができる人のようだ。

ピアニストがとても気に入ったので、CD(2,500円くらい)買って、サインしてもらい、満足。


リーズ・ドゥ・ラ・サールさん

ガエタノ・デスピノーサさん



2015年3月14日土曜日

関西フィルハーモニー管弦楽団 飯守泰次郎 清永あや ブルックナー 交響曲第5番 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 2015.3.14

評価  ★★★☆☆(星3つ)


関西フィルハーモニー管弦楽団 第263回定期演奏会

2015.3.14

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64

ブルックナー:   交響曲第5番 変ロ長調


アンコール:    なし

指揮      飯守泰次郎
ヴァイオリン 清永あや

場所 ザ・シンフォニーホール

席   3階 RRB-1  2,000円
     指揮者のななめ前。オーボエの横かな。
     ソリストの全身は見えるが、上を向かないと表情はよくわからない。

     完売ということだが、席が埋まっているのは9割強か。

建物に入ると、プレトークらしい音声が聞こえていた。
エスカレーターを上って会場に入ると、飯守さんがマイクを持ってプレトーク。
曰く。
曲が長いといわれると、次は短くすると言うが、実際にはもっと長くなっていた。
生涯独身だったが、60代になって18歳の少女に恋をした。純真。
服装に無頓着。上着とズボンが合わなかったり、靴が左右違ったり。奇妙な服装を見るのを近所の方々は楽しみにしていたが、それを、人気が出てきたと勘違いしていたとか。
など。話上手な飯守さん。

さて、演奏。

メンデルスゾーン。
出だしのヴァイオリンの音色のよさに驚いた。うっとりするような音色で、きれいに弾いている。強さと緊張感がもう少しあれば最高だったろう。この前聴いた川久保賜紀さん(チャイコフスキーだったが)よりも、好みの音だ。

飯守さんは、いつものように、やや硬いかんじの動きかた。最初、ソリストの方を向いて指揮。しばらく続けたあと、スコアを3~4枚めくっていた。概して、スコアを見ている時間の方が長いように見える。ブルックナーも。

ブルックナー。
大きな失敗もなかったようだ。(トロンボーンやら、トランペットやら、オーボエやら、若干気になったが。)最後など、かなり盛り上げていた。
しかし、音符をならべただけではない魂が感じられない。これは、指揮者の感性と、こちらの感性が合わないということだろうか。
終った後、ブラボーがそこかしこから聞こえたが、かなりの違和感があった。

ホルンのトップの人は、そつなく上手く吹いていた。京響のホルンより上手い感じで、かなり感心していたのだが、調べると、東京都響の前首席笠松長久さんだって。関西フィルの人は、ああは吹けないということだろう。ホルンがしくじったら、曲めちゃめちゃになるし。

クラリネットはよかった。梅本貴子さん。

指揮者とソリストが日本人同士だと、握手だけで、抱き合うことはしないのだ、とあらためて思った。
サロネンさんとヒラリーさんは、抱き合って、キスもしていたが。

2,000円だから良いが、一番高い6,000円の席だったとしたら、腹が立ったろうな。

2015年3月7日土曜日

フィルハーモニア管弦楽団 エサ=ペッカ・サロネン ヒラリー・ハーン 名古屋 シベリウス 交響曲第2番 ブラームス ヴァイオリン協奏曲 他 2015.3.3

評価 ★★★★★ (★5こ) 

西宮よりも星が少ないのは、西宮に続いて、わずか1日おきの2回目だったので、新鮮な感動が薄れたから。

2015.3.3

指揮:     エサ=ペッカ・サロネン
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
フィルハーモニア管弦楽団

シベリウス作曲:交響詩「フィンランディア」op.26

ブラームス作曲:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
アンコール バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番より ジーグ

シベリウス作曲:交響曲 第2番 ニ長調 op.43
アンコール シベリウス 悲しきワルツ


会場 愛知県芸術劇場 コンサートホール

席 3階 R2-33

C席 11,000 円 (一番高いのは S 21,000)

どうしようかと迷ったが、西宮では聴けない大好きなシベリウスの2番も聴きたいと思い(5番も好き)、名古屋でのコンサートも行くことにした。

席は7割程度しか埋まっていない。名古屋でクラック好きな人ってかなり少ないのかな。せっかくのサロネンさん、ヒラリーさん、フィルハーモニアなのに。音楽家の方々、気の毒な感じ。でも、左側が空席で、くつろげた。
うっかりメガネを忘れたが、双眼鏡を持っていったので、よしとしよう。

ヒラリーさんは、一見すると、1日と同じドレス。まあ、モデルではないので、そう替えないか。しかし、相当汗をかくだろうに、どうしてるんだろうか。
ちなみに、サロネンさんも同じ(デザインの)服。
今日も、サロネンさんは、楽譜を置いているが、ほとんど見ずに、ページをめくるときだけ手が自動的に動いていた。暗譜よりもかっこいい。(そういえば、岩城宏之さんは、かっこいいので暗譜していると書いてた。そう、ついでに思い出した。佐渡裕さんは、暗譜しないことにこだわる、という意味いのことを書いてたが、べつにこだわるほどのことではないようにも思うが、真意はどんなことなのだろうか。)

さて、フィンランディア。やはり素晴らしい。ちょっとティンパニの入りに力が入りすぎたような気がしたところもあったが。

ブラームス。今日は、3階からなので、ヒラリーさんの顔はよく見える。ただし、全身はサロネンさんに隠れて見えないほうが多い。ヒラリーさんの音は、透明性があって、時に豊かさや艶やかさもある。第二楽章に入るときに、ヒラリーさんとサロネンさんが、目で合図をしていたことや、3楽章でチェロの方見たときのサロネンさんの幸せそうな表情が印象的。
アンコールのバッハも素晴らしい。まさに音楽の精。

シベリウスの2番。広がり、躍動感など、かなり良いが、平日の仕事後ということもあってか、こちらの集中力が散漫になってしまった。トランペットの透明感のある伸びやかな音が心地よい。あと、2楽章6~7分あたりのトランペットソロ、個性的な吹き方だったけど、サロネンさんの趣味? 

総じて、満足。


愛知県芸術劇場前の「水の宇宙船」 後ろはテレビ塔

愛知県芸術劇場

劇場入り口近く



2015年3月1日日曜日

フィルハーモニア管弦楽団 エサ=ペッカ・サロネン ヒラリー・ハーン 西宮 シベリウス 交響曲第5番 ブラームス ヴァイオリン協奏曲 他 2015.3.1

評価 ★★★★★★ 6個)(5個で最高だが、それを凌駕しているので6個とした)

2015.3.1

指揮 エサ=ペッカ・サロネン
ヴァイオリン ヒラリー・ハーン
管弦楽 フィルハーモニア管弦楽団

シベリウス:交響詩「フィンランディア」
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調

アンコール バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番より ジーグ

シベリウス:交響曲 第5番

アンコール シベリウス 悲しきワルツ

会場 兵庫芸文センター

席 1階バルコニー RA6 15,000円(≒京響5回分)(A席;一番高い席)
ヒラリーさんを近くできちんと見ることができる席を、と思って奮発したが、4分の1くらいはサロネンさんにかくれてしまった。RA1、2あたりか、RA10以降かなら、そのようなことはなかったような。残念。

満席

フィンランディア、冒頭から圧倒される。トロンボーン、そしてティンパニ。確固とした響き。
それから先も、いいようもなく美しい、魂がこもった演奏。金管も、全く危なげがない。涙が出そうなほど。勇気をもらうような演奏。

ブラームス。ヒラリーさんは、音色がいい。透明感があったり、艶やかさがあったり、がっちり感もあったりで、素晴らしい。去年のシベリウス(同じ会場。ネルソンスさんとバーミングハム市交響楽団)のときの方が、がっちり感は強かったような。去年の方がステップがかっこよっかった。まあ、曲の個性が違うということか。(オケは、バーミングハムよりも、フィルハーモニアの方が圧倒的に良い。)ヒラリーさんは、意外と、サロネンさんの方を見ること多かったな。
アンコールのバッハも、音色、音の表情、曲のつくり方など、素晴らしい。うっとりできる。
終った後は、サロネンさんと、ヒラリーさんと、右に左にと抱き合っていた。キスはなし。

そして、シベリウス交響曲第5番。曲が始まった時、指揮者とオーケストラが、一つの有機体(生物)になったかのような印象を受けた。まことの魂のある音楽。
がっちりとした感じではじまり、1楽章の最後の方はかなり早く、サロネンさんは、髪を振り乱す(といっても長髪ではない)とでもいった風に、激しく指揮。2楽章で、テンポは緩くなるが、眠気を感じさせず、時間はあっという間に過ぎる。フィナーレも圧倒的。
日本の(関西の)オケだと、トロンボーンやホルンの出だしのそろい方やら外したことやら気になるが、そんな不安はなく、音楽に集中できる。これが、世界水準。
癌の恐れのなかで4番を作曲し、癌の不安を払拭した後にこの5番を作曲したという。フィンランディアにも似た、未来に向かった音楽。

サロネンさんは、楽譜をおいているが、ほとんど見ない。腕だけが楽譜に伸びて、ページをめくる。(DVDで見た、バーンスタインさんが楽譜を置いてるときのような感じ。)長身ではないように見えるが、動きは大きくしなやかで、大きな音楽をしっかりとした枠組みで、時に枠を超え、つくっている。
1stヴァイオリンの方を向くことがわりと多かった。残念ながら、こちらの方(コントラバスとチェロ)は、時たま向くという程度だが、時に微笑みもあったりもする。
アンコールの後、団員に投げキッスし、最後に聴衆へと投げキッスし、舞台を去った。かっこいい。

ヒラリーさんは、今回も、演奏会のあと、気さくにサイン会。会場を出たのは早いほうかと思ったが、すでにけっこうな列。サインのあと、一人ひとりに素晴らしい笑顔もプレゼント。たいした人だ。Thank you very much. しか言わなかったのが少しさびしいが、次に機会があれば、ひとこと加えよう。ドレスはベージュ。床には着かないロングドレスで、足元に少しスリットが入っている。去年もそうだった気がするが、おなかがすこしぷっくりかな。まあ、管楽器のような複式呼吸がないからか。

オーケストラには、アジア系の人が意外にすくなく、ざっとみて3~4人か。
アフリカ系の人が、2人か。ティンパニストにも一人。上手い。
木管、金管、弦が絶妙に調和している。金管はすばらしく、オーボエもとてもよい。フィンランディアのあとは、サロネンさんが、オーボエの1stの人に立つよう合図していた。
金管は、日本のオーケストラとの差が大きいな。日本のオーケストラもオーディションして、世界中から集められないのかな。

2015年2月22日日曜日

京都市交響楽団 オッコ・カム ニールセン 交響曲第4番 グリーグ ピアノ協奏曲ほか

評価  ★★★★★(星5つ)


京都市交響楽団 第587回定期演奏会


シベリウス:交響幻想曲「ポヒョラの娘」op.49

グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調op.16

アンコール(ピアノ) グルック(編曲 ズガンパーティ) 「精霊の踊り」
             グリュンヘルト 演奏会用パラレーズ 「こうもり」

ニールセン:交響曲第4番「不滅」op.29

指揮  オッコ・カム
ピアノ ナレ・アルガマニヤン

場所 京都コンサートホール

席   3階 RB-1-7
     オーボエのやや前。ピアニストの顔が、わりとよく見える。もっと左に行くとみにくいだろう
     ピアノ独奏のときは、かなり良い席のような。

例によって完売というが、席が埋まっているのは9割強か。

料金 3500円(会員割引をうっかりして使わなかったらしい。窓口で買ったので、会員かどうか聞いてくれなかったようだ。)

プレトークで、オッコ・カムさんが、京都には京響があって素晴らしいというような意味のことを言っていた。半分社交辞令にしても、ありがたい話。そして、今年は、ニールセンとシベリウスと、ともに、生誕150周年。シベリウスは、非常に真面目に作品を作り、作品も真面目だが、ニールセンは、作品中にユーモアもあるという。確かにそうだな。
通訳してた人、「グリーグにはハ短調の交響曲などいろんな作品があるが、ピアノ協奏曲がよく演奏される。」というのを、グリーグの交響曲という部分をはしょって、単に「交響曲などいろんな作品」云々と言ってたな。


さすが、オッコ・カムさんだけあって、今日の京響は、かなり良い。
シベリウスから、弦が、芳醇さ、えぐるような低音の響き、繊細さなど兼ね備えて、素晴らしい。

さて、グリーグ。ナレ・アルガマニヤンさんは、力強があり、繊細さもある。陶酔の表情もよい。時に目をつぶる。中山さんティンパニも締まっている。感動を呼ぶ。2楽章のホルンの入りで音が少し濁ったのを除くと、私の耳には完璧か。ナレ・アルガマニヤンさん、まだ25歳。晩成ではないが、大器。成長が楽しみ。

ニールセン。圧倒的な演奏。最初のチューバが決まったのも印象的。2つのティンパニ(席からは1つしか見えないが)も、申し分がない。時に入る小谷口さんのクラリネット、小谷口さんと鈴木さんのハーモニーも絶品。ニールセンの音楽、音の重層感が、すごい。一度、トロンボーンが入る部分で、そろっていなかったことを除けば、ほぼ完璧。

オッコ・カムさんは、楽譜を見ている時間が長いが、きちんと音楽をつくれている。とても善人そう。

めずらしく、小谷口さんが鈴木さんとにこにこ話していた。ニールセンの演奏前には、一緒に、さらっていた。仲は、きっと、良いのだろう。


2015年2月8日日曜日

京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー 2014 第4回 春の祭典 他 2015.2.8

京都市交響楽団 2015.2.8

オーケストラ・ディスカバリー 2014 (こどものためのオーケストラ入門)  第4回

評価
 ビゼー カルメン組曲第1番            ★★★★☆ (星4つ
 サン=サーンス 序奏とロンドカプリチオーソ  ★★★★☆ (星4つ)
 ストラヴィンスキー 春の祭典           ★★★☆☆ (星3つ)

指揮      沼尻 竜典
ヴァイオリン  黒川 侑

曲  
   ビゼー        カルメン 組曲 第1番            
   サン=サーンス  序奏とロンドカプリチオーソ
   ストラヴィンスキー 春の祭典

アンコール ビゼー アルルの女 より ファランドール

会場 京都コンサートホール

席   2階 L2 30  2,500円

席は、9割あまり埋まっている。
小学生風の人が多い。(まあ、「こどものため」だし。) しかし、一人で来てる雰囲気のお年よりも少なくない。

ビゼーとサン=サーンスは、濁りを感じないきれいな演奏。「さすが本物のオーケストラ」といったふう。
沼尻さんは、きびきびとしていて、けっこう指や手のひらでの指示が多い。声はとても聞き取りやすい。(「こどものため」で、ロザンが沼尻さんとやりとりしていた。しかし、ロザン、高学歴のわりに、質問がさびしい。ロザンさん、もう少し準備するとか、スタッフが教えておくとかしてほしかったところ。)

指揮者体験では、5歳の男の子と小学生(8歳くらいだったっけ)の女の子が一人づつ。ちゃんとあわせて演奏していたようで、さすが。

さて、問題の春の祭典。
昨年2月2日の京響さんの演奏(秋山和慶指揮)が、けっこうひどかったので、今回こそはすごい演奏をと期待して、今日の券を買っておいた。
冒頭1分くらい、管がちょっとそろわない。11分くらい、ピッコロの聞かせどころだが、音が沈んでしまっていた。その後、ホルンがちょっと微妙だったり。2部になったらちょっと眠気を感じたり(春の祭典で眠気なんて、信じられないが、演奏が心に訴える部分がもうひとつだったのだろう。ビゼーとサン=サーンスでは全く眠くなかったし。)
エキストラさんたちがいまひとつだったのかな? 小谷口さんが、クラリネットのエキストラのお兄さんを称えて握手していたから、クラリネットのエキストラのお兄さんは、よくできていたのだろうな。太鼓とティンパニは、昨年同様、よかった。

2015年2月1日日曜日

ワーグナー さまよえるオランダ人 飯守泰次郎 ほか 2015.1.31

2015.1.31

ワーグナー さまよえるオランダ人

評価 ★★★★☆ (★4つ)

指揮 飯守泰次郎
演出 マティアス フォン シュテークマン

キャスト
【オランダ人】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【ゼンタ】リカルダ・メルベート
ダーラント】ラファウ・シヴェク
【エリック】ダニエル・キルヒ
【マリー】竹本節子
【舵手】望月哲也

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

場所 新国立劇場(初台)

席  2階 前から2列目 真ん中あたり 19だったと思う
 S 21,600円 (高い。B席10,800円でよかったが、売り切れだった。ちなみに、2階前から3列目はA席になるみたい。)

満席

本日は、5回公演の最終日。日本でのオペラ上演も、かなりお客さんが集まるようだ。

マイヤー(バリトン)と、メルベート(ソプラノ)は、素人耳にも素晴らしい。人間の歌声が、こんなにも強く、情感も持つものだとは。

東京交響楽団は、金管が乱れていた。トランペットが2幕終わりの方で外したのには驚いた。(聞き違いではないと思う。)ホルンとトロンボーンもきちんと音を出せていないことがままあった。京響、大フィル、日本センチュリーなどの方が安定していると思う。2万円以上とるのだから、しっかりしてほしい。

飯守さんは、ワーグナーの第一人者ということ。音楽のつくりかたは悪くないが、もう少し艶がほしいな。

全体としては、けっこう良い。堪能できた。

それにしても、19世紀半ばにドイツ人がつくったオペラが、200年近く経った、遠く離れた日本で、熱心なファンをたくさんあつめて上演されるということは、すごいこと。

機会があれば、また行こう、新国立劇場。