2017年7月29日土曜日

大阪フィルハーモニー交響楽団 インバル マーラー 交響曲第6番 2017.7.28

★★★★★
2017.7.28
大阪フィルハーモニー交響楽団

指揮/エリアフ・インバル
曲目/マーラー:交響曲第6番

C席4000円 2階7列(一番後ろ)12番
(学生を除けば一番安い席。大フィルは高い。)
悪い席ではない。
見える範囲は概ね満員。サテライト席?は空席も少なくないが。

2楽章にスケルツォをもってきていた。
4楽章(終楽章)のハンマーは、2回だった。

冒頭。もう少し、えぐるような音が欲しかった。少し不全感。
しかし、がっちりして堂々とした曲作りだ。
その後、時に緻密さがなくなるが、だんだん盛り上がる。終楽章になると、非の打ち所がない。さすが、インバルさんだ。
ハンマーは、本体が赤茶色で、そこそこ色落ちしている感じで(双眼鏡でチェック)、使い込んでいるという印象。叩かれる木箱は新しい感じだ。
叩いたのは、きゃしゃな女性。井口雅子さんだろうか。きゃしゃだけれど、存在感のある叩き方だ。ぴったりと決まった。ふりかぶるので、拍に合わせるのはけっこう難しいのではないだろうか。

インバルさんは、見ていて心地よい指揮ぶりだ。ストレスがない。

演奏を終え、インバルさんが最初に立ち上がるよう合図をしたのは、ホルンの高橋将純さん。この曲、かなりホルンが目立っている。名手高橋さんは、堂々と演奏していた。万雷の拍手。
終演後のインバルさんの表情も、会心のでき、といったふうだ。

満足度の高い演奏会だった。







2017年7月23日日曜日

フィガロの結婚 佐渡裕 2017.7.23

★★★★★
2017.7.23 フィガロの結婚
指揮 佐渡裕
演出 デヴィッド・ニース
 
アルマヴィーヴァ伯爵  ユンポン・ワン
アルマヴィーヴァ伯爵夫人  キレボヒリ・ビーソン ※
スザンナ  リディア・トイシャー
フィガロ  ジョン・ムーア
ケルビーノ  サンドラ・ピケス・エディ
マルチェリーナ  ロバータ・アレクサンダー ※
バルトロ アーサー・ウッドレイ
バジリオ/ドン・クルツィオ  チャド・シェルトン
アントニオ  晴 雅彦
バルバリーナ  三宅理恵

兵庫芸術文化センター管弦楽団
チェンバロ  ケヴィン・マーフィー
 
A席(一番高い席)12000円
2階3列目(最後尾)ややL寄り

代役のビーソンさんも、まだ新人というカテゴリーに入るようだが、かなりのもの。南アフリカ出身の黒人歌手だ。声が甘ったるい感じがするのが少し好みと外れるが、それでもたいしたものだ。
他の歌い手も素晴らしい。三宅理恵さんも、かなりよかった。
毎年、この佐渡さんオペラは、歌手の水準が高い。これだけの歌手を集めるのは、かなりたいへんなことだろう。

この会場、オーケストラがビットに入ると、音の響きや、音の深みが削がれる気がする。
PACさんも、ひさびさにお顔を拝見すると、見覚えがない方ばかり。まあ、3年で退団するという話だから、やむを得ないのだろうが。オーケストラへの親しみという点からすると、人によってはもう少し長く在団してもらってもいいような気もする。今日のPACさん、なかなかよかったが、弦のキレがもう少しあると申し分ないように思えた。

ただ、第一幕は、残念ながら、少し冗長に感じる部分もあり、意識が舞台からずれたこともあった。第二幕以後は、それを吹き飛ばすかのような素晴らしさだったが。

本日が、10日程度の西宮公演の最終日だ。
最後、オーケストラ団員も舞台に上がって手を振っていた。かなりよい試みに見えた。最終日だけかな。(このシリーズでも、オケ団員が舞台に上がるのは初めて見た。)価値ある最終日か。

終演後、佐渡さんのサイン会。列は、残念ながら短めだった。(ほしい人の大多数はもうもらっているのだろう。以前のヒラリー・ハーンの列はすごかった。)

来年は、魔弾の射手だという。楽しみだ。







2017年7月16日日曜日

京都市交響楽団 広上淳一 ズーカーマン ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ブラームス 交響曲第3番 2017.7.16

★★★★★
2017.7.16

[指揮]広上淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
[Vn]ピンカス・ズーカーマン

ブラームス:大学祝典序曲op.80
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調op.61
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調op.90

料金 S5,000  A4,500 B3,500 P2,000
京都コンサートホール 

広上さんが、プレトークで、今日がズーカーマンさんの誕生日、そこで、演奏の後にサプライズでハッピーバースディを演奏するので、手拍子をください、そうするとアンコールが期待できそう、などと話していた。(実際、手拍子はあったがアンコールはなし。)
意外なことに、広上さんは、この曲を演奏するのは、今日が4回目(2回公演の第一回である昨日が3回目)だという。学生の時にこの曲の指揮をするために勉強した、その青臭い感じがあって・・ などと話していた。
大学祝典序曲は旺文社の大学受験ラジオ講座で聴いていたが、その曲がブラームスとは知らなかったという、これまた意外なお話だ。

大学祝典序曲は、ホルンのエキストラさんがソロを吹いた時など、音がきれいに聞こえず、少し残念。

ベートーヴェンは、さすが巨匠という名がふさわしいズーカーマンさん、素晴らしい。しかりした音で、時に透明感、ときに豊かさ、時に切なさ、といったふうだ。音色も好みだ。
出だしの中山さんのティンパニもたまらない。無造作に見えるが絶妙だ。この曲、このティンパニで、よくもなり、平凡にもなる。
今まで聴いた中で(録音も含めて)、いいな、といえる演奏は、昨年の五島みどり+広上淳一+京都市交響楽団 と、今日の演奏と、2回だけだ。

ブラームスも、圧倒的な名演だ。
この曲も、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と同様に、つまらない演奏で聴くと、本当につまらない。その対極にあるのが今日の演奏だ。
クラリネット、持ち帰る時に時間の余裕があまりなく、マウスピースの付け替えをみるのも興味深い。小谷口さんはかなり忙しそうだ。筒井さんは、セカンドの方がファーストよりも遅れて入ることが多いせいか、余裕を見せながら付け替えていた。
それにしても、広上さんの音楽づくりには、いつも脱帽だ。
曲のあと、真っ先に立つよう指示されるのは、小谷口さんだろうと勝手に思っていたが、実際には、垣内さんだった。それも良しか。2番目が小谷口さんだったが、指名を周囲の人に確認してから立っていた。クラリネットのソロが始まった時に広上さんはニコニコしながら指揮していたのだが・・・







大阪フィルハーモニー交響楽団 レナード・バーンスタイン ミサ 井上道義 2017.7.14

★★★☆☆
総監督・指揮・演出/井上道義

照明/足立恒
美術/倉重光則
振付/堀内充
音響/山中洋一
副指揮/角田鋼亮
合唱指揮/福島章恭
児童合唱指揮/大谷圭介
舞台監督/堀井基宏

キャスト/大山大輔、込山直樹、小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣、野田千恵子、幣真千子、森山京子、後藤万有美、
藤木大地、古橋郷平、鈴木俊介、又吉秀樹、村上公太、加耒 徹、久保和範、与那城 敬、ジョン・ハオ

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団
児童合唱:キッズコールOSAKA
バレエ:堀内充バレエプロジェクト/大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース
助演:孫高宏、三坂賢二郎(兵庫県立ピッコロ劇団)

ミュージック・パートナー/佐渡裕 ※出演いたしません

フェスティバルホール なぜか1番高い席(9000)を持っていた。2階の最前列
概ね満席に見えた。

曲自体は、よくわからない。オーケストラに、曲によってはエレキギターが加わり、混沌とした感じに。(それが狙いかもしれない。)
曲の統一性やら、物語性は感じられない。ウケ狙いの関西弁は感じが良くない。
最後の曲はよかったが。
全体として楽しめないわけでもないが。

歌手は、皆、マイクを装着。何故だろうか。オペラと違い、小さい声も必要だから、ということ? 肉声とちがって、時に耳障りで伸びも足りない気がしたが、実際はどうだったか。
歌手では、大山大輔さん、小川里美さん、小林沙羅さんが別格だ。とりわけ、小川さんにはオーラが見える。たいしたものだ。

井上さんも熱演だ。







2017年7月8日土曜日

ハンブルク交響楽団 シュテファン・ザンデルリンク 2017.7.3

★★★★★

ハンブルク交響楽団
Hamburger Symphoniker

演目・内容 [指揮]シュテファン・ザンデルリンク

ベートーヴェン:「エグモント」序曲 op.84
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67「運命」
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68

料金 一般 S9,000 A7,000 B5,000 C3,000 私はC席。3階バルコニーの下段だ。上段に比べると、かなり舞台に近い気がする。

お客さんは、ざっと、7割くらいか。さびしい。京響ならこんなに少ないことはないが。料金も比較的手ごろだし、京コンさんは、もっと、うまく宣伝したり、聴衆集めの工夫をしたりしないといけない。

演奏は、総じて申し分ない。エグモントは文句のつけようがない。第五は、力で押す風な演奏。第一は、情感あり力強さありで、申し分ない。
シュテファン・ザンデルリンクさんは、踊る指揮。
ドイツ音楽家の層の厚さを感じる。




関西フィルハーモニー管弦楽団, シュテファン・ドール,cd-ディエゴ・マルティン・エチェパリア

★☆☆☆☆
2017.7.5

[指揮]ディエゴ・マルティン・エチェバリア
[ホルン]シュテファン・ドール
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

モーツァルト:ホルン協奏曲第3番 変ホ長調 K.447
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第2番 変ホ長調
  ソリストアンコール:メシアン 峡谷から星たちへ より
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 op.61

会場 ザ・シンフォニーホール
料金 S 6,000円 A 4,500円 B 3,000円 C 2,000円

ドールさんは、さすが。うまい。メシアンは、絶品だろう。

しかし、オーケストラを含む音楽とすると、あまり感心できない。
指揮者がひどいのだろう。シューマンの第一楽章は、音楽になっていなかった。ばらばらの変な音が聞こえているというひどい状態だった。第二楽章からはややましにはなったが、それでも音楽とは言い難い。
指揮者は、シューマン演奏後に両手でサムアップしていたけれど、この演奏でサムアップとは、指揮者の音楽センスを疑う。ブラボーと叫んでいたブラボー屋さんもいたが、どういう神経をしてるのかな。
シューマンの交響曲第二番は、広上淳一さん指揮の京都市交響楽団の名演が頭に残っている。2~3年前かと思い、調べると、2013年11月30日だった。残念ながら、このブログを書き始める前だった。
しかし、同じ曲なのに、これほど違うって・・・

関西フィルは、デュメイさんの指揮の時はまずまずだが、藤岡さんやら飯守さんやらの時は、失望というか、絶望と言うか・・・



日本センチュリー交響楽団 ガランタ舞曲 シューマン チェロ協奏曲 他 2017.7.7

★★★★★
2017.7.7

[指揮]ヤーノシュ・コヴァーチュ
[チェロ]イェンス=ペーター・マインツ
[管弦楽]日本センチュリー交響楽団

リスト:交響詩「前奏曲」S.97
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129
 ソリストアンコール:バッハ 無伴奏チェロ組曲第3番 サラバンド

コダーイ:ハンガリー民謡「飛べよ孔雀」による変奏曲
コダーイ:ガランタ舞曲

会場 ザ・シンフォニーホール
料金 A 6,000円 B 4,500円 C 3,500円 D 1,500円
私はD席。L側のバルコニー最上段 正面が指揮者のお尻のあたりか 3分の2くらいのプレイヤーの顔も見え、悪くはない席だ。
しかし、4割くらいしか席が埋まっていない。

失礼ながら、日本センチュリー交響楽団が、今日のような上質の音楽を奏でるとは思いもしなかった。飯森さんが指揮する凡庸な演奏という印象が強かったのだろう。奏者の実力はかなりのものだ。

リストの力強さと情感
飛べよ孔雀の透明感
ガランタ舞曲の躍動感
どれをとっても素晴らしい。さすが、ハンガリー国立歌劇場を40年ほど率いたというコヴァーチュさんだ。存在感もかなりなものだ。
シューマンも悪くはない。チェロ協奏曲となると、チェロの音域からしてチェロが浮き立つことはないので、輪郭がはっきりしない音楽になってしまうのではないかな。

ホルンの水無瀬一成さん、京響の時は垣内さんに隠れていたが、実はかなりの実力者だ。
クラリネットの持丸秀一郎さん、息の柱ががっちりしている。音の深みと優美さが加われば、完璧だ。






2017年7月3日月曜日

諏訪内晶子 ヴァイオリンリサイタル 2017.7.2

★★★★★

2017年7月2日(日) 14:00 開演

[ヴァイオリン]諏訪内晶子
[ピアノ]ボリス・ベレゾフスキー

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 「春」 op.24
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ

プロコフィエフ:5つのメロディ op.35 bis
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.18

アンコール
マスネ:タイスの瞑想曲
ウォーロック:カプリオール組曲より Basse-Danse
ホイベルガー(クライスラー編):「オペラ舞踏会」より 真夜中の鐘
クライスラー:シンコペーション
ドヴォルザーク(クライスラー編):我が母のおしえたまいし歌

ザ・シンフォニーホール A席8000円(S席なし)
最前列のR側28くらい
諏訪内さんを正面近でとらえる席。(正面を向かず、右を向いているので。譜面台は、客席の列と直角だ。)ベレゾフスキーさんもまずまずよく見える。
お客さんは9割くらいか。

諏訪内さんは、赤いロングのドレス。靴は金色で、ヒールは10数センチくらいありそうだ。

やはり、最初の音から素晴らしい。上質だ。
豊かで力強く、情感にあふれ、繊細さも併せ持つ。
ピアノとのかけあいも心地よい。
諏訪内さんの目をぱっちりあけて楽譜を見る様子が絵になっている。ベレゾフスキーさんは、時折諏訪内さんのほうを向く。

アンコールは、なんと、5曲。お二人もだいぶ興が乗っていた雰囲気。
ベレゾフスキーさんが諏訪内さんの手を取って、その手を高くかかげることが何度かあったのが印象的だ。

良い席にしておいて、よかったと思う。