2016年9月30日金曜日

イリーナ・メジェーエワ ショパン ピアノソナタ第3番 他 2016.9.29

★★★★(★)
最後の曲になると、★5つ

イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル

2016.9.29

~オール・ショパン・プログラム~

幻想即興曲 op.66
アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ op.22
マズルカ ハ長調 op.24-2
マズルカ ロ短調 op.33-4
ワルツ 変イ長調 op.42
スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39

即興曲第3番 変ト長調 op.51
ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58

アンコール
 マズルカ 作品68-4
 ワルツ  作品69-2
 ノクターン 遺作

京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ

全席3000円 前から2列目真ん中あたり。表情が良く見える席。
チケットは、前売りで完売 といっても小ホールだから、500席くらいか?

イリーナさんは、半分くらいは、楽譜を鋭い眼光で見据えていた。
演奏は、最初、「学者の演奏」とでもいうような印象だった。精緻であり、ダイナミズムもあるが(細身の体から、思いがけないほどに強烈に鳴らすこともあり)、プラスアルファが感じられない。
しかし、ピアノソナタの最終楽章に入ると、見据えた楽譜からショパンが憑依したかのようなほとばしりを感じる、凄いとしかいいようのない演奏になった。

楽譜を見ながら、ということは、自分の情感に流されずに、ショパンに忠実に、ということなのだろうか。

表情やしぐさはとても上品で気品もある。

楽譜をめくる女性は、曲が終わって拍手の段になるたびに、ピアノの後ろに隠れていた。そういうものなのだろうな。

ロシア出身で京都に住み続けるピアニストが、200年近く前のポーランドの作曲家の曲を、90年前にアメリカで作られたスタンウェイのピアノで弾いていた。それを京都のお客さんが熱心に聴き入っている。考えてみると、すごい話だ。

来年6月9日のベートーベンのソナタが楽しみだ。



2016年9月28日水曜日

アリス=紗良・オット  グリーグ 抒情小曲集等 リスト ソナタ ロ短調 2016.9.28

★★★★★

2016.9.28

ピアノ
  アリス=紗良・オット

グリーグ:叙情小曲集より
グリーグ:ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 op.24
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調

アンコール グリーグ ペールギュントより  山の魔王の宮殿にて

サイン会あり

会場 兵庫芸文センター 大ホール
  
席 1階バルコニー R2の5 くらい  5,000円(一番高い席)
わりと良い席。時にピアノの支柱が顔にかかるが、ひどく気になるというほどではない。
もっとも、手元は全く見えない。
Rバルコニーのステージに近い席は、ピアノリサイタル向けだ。

7~8割の集客か。
しかし、サイン会はかなりの盛況だった。

演奏に先立ち、黄色いドレスで登場したオットさんが、マイクを持った。
時間に追われる現代社会、グリーグの小品が憩いの場になる、というような趣旨と理解した。日本語は4か月目というが、不自然さは全くない。日本語が国際語でないことを実感させる。声は、けっこう低いトーン。すらっとしており、身長は170くらいか?
残響はかなり少ない。そのため、声は、非常に聞き取りやすい。京コンとはえらい違いだ。

さて、演奏。「素晴らしい」に尽きる。音が生きている。音の輪郭ははっきりとし、ときにきらめき、時に地を這う。細身の体から、信じられないほどのダイナミックな表現が繰り広げられる。まさに、現代社会のオアシスだ。
足は素足。お辞儀は、柔軟体操のように、深い。グリーグの終演後は、小走りに舞台を出入していた。

後半のリストは、衣装も黒に変え、照明もかなり落とし(表情もはっきり見えない)た演出だ。
演奏は、グリーグ同様申し分ない。緩徐部分でも緊張感を保ち、退屈させない。

アンコールのグリーグも絶品。この曲がこんなふうに響くとは。素晴らしい。











2016年9月25日日曜日

関西フィルハーモニー デュメイ フリスティヤ・フージイ 菊本和昭 ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第1番、第2番 チャイコフスキー 交響曲第2番 2016.9.25

★★★★☆

関西フィルハーモニー管弦楽団第277回定期演奏会

2016年9月25日(日) 14:00 開演

[指揮およびヴァイオリン独奏]オーギュスタン・デュメイ(関西フィル音楽監督)
[ピアノ]フリスティヤ・フージイ
[トランぺット]菊本和昭

[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

チャイコフスキー:ゆううつなセレナーデ op.26(ヴァイオリンとオーケストラのための)
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 op.102
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 op.35(ピアノ、トランぺット、弦楽合奏のための)
 ピアノ・トランペット アンコール :チャイコフスキー ナポリの踊り (白鳥の湖 より)

チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 op.17 「小ロシア」
 アンコール:ビゼー アルルの女第一組曲より アダージェット

会場 ザ・シンフォニーホール

料金 S 6,000円 A 4,500円 B 3,000円 C 2,000円

C席。舞台後方 R寄りの前列。 残念ながら、ピアニストの顔は半分くらいはデュメイさんに隠れていた。それでも隠れていない時間もそこそこあって、表情もわかり、けっこう楽しい。

ゆううつなセレナーデ 
 デュメイさんの、いわゆる弾き振り。といっても、ほとんど弾いていたので、最初手で振って、途中で時折弓で振っていた。
存在感のあるヴァイオリンの音だ。くっきりして、豊かだ。

ショスタコーヴィチ 
第2番、フージイさんは楽しげに弾いていた。
第1番も、やはり楽しげにひいていた。
菊本さんは、太く、しっかりした音だ。弱音気をつけても太い感じがする。さすがだ。

交響曲第2番
「小ロシア」は、ウクライナのことだそうだ。
4,5,6番と比べると、まだ洗練されていないが、4番、5番を彷彿とさせる終盤の盛り上がりはなかなかのものだ。

デュメイさんは、8割くらいの時間は、楽譜を見ている感じだ。下向きになり、かっこうはよくない。といっても、一度、私の方に向かって手で音を出せとの指示。(実際には私とデュメイさんを結んだ直線の途中にチューバの人がいて、この人への指示だとおもう。)
音楽ずくりの方は、飯守さんや藤岡さんと違って、私の好みに近い。
クラリネットの音色はいまひとつだ。
大事な役回りとなるホルンは、客演首席(名フィル首席の安土真弓さん)だった。安土さん、今日は無難に吹いていた。関西フィルの首席には安心して任せられないということか。




2016年9月24日土曜日

京都市交響楽団 デスピノーサ アラベラ・美歩・シュタインバッハー ベルク ヴァイオリン協奏曲 シューマン 交響曲第3番 2016.9.24

ヴェルディ ★★★★☆
ベルク    ★★★★☆
シューマン ★★★★☆

2016.9,24

京都市交響楽団 第605回定期演奏会

[指揮]ガエタノ・デスピノーサ
[Vn]アラベラ・美歩・シュタインバッハー

ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲
ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
 ヴァイオリンアンコール バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第2番から アンダンテ
  
シューマン:交響曲第3番変ホ長調「ライン」op.97

~開演前(14:10頃~)指揮者による「プレトーク」~

ホール 大ホール

料金 S 5,000  A 4,500 B 3,500 P 2,000
B席会員割引で確か3150円。舞台横の2階バルコニーR。エンターテインメントとして楽しむにはこのあたりが一番良い席ではないか? 指揮者の表情も見えるし。

お客さんは9割くらい。もっと入ってほしいと思うが・・・


ヴェルディ。生き生きしていて、なかなかよかった。

ベルク。
アラベラさんは、繊細な音を奏でる。強く弾く場面でも、優雅さがある。天国的な響きとでもいえようか。この曲にはとてもよく合っている。動きも優美。紫のドレスも容姿・体形・演奏に、よく合っている。指揮者と時に目で合図をしあっているのに感心。
小谷口さんが4番目の席に座っていたので、ちょっとびっくり。1st以外の席に座るのを見たのは初めてだ。出番も少しだけ。

シューマン。
デスピノーサさんの指揮はなかなかのもの。曲の本質をうまく音にしているかんじだ。楽譜を置いているが、ほとんど見ずに、ページをめくっていく。
音もかなり心地よい。とりわけクラリネットのソロはよかった。トロンボーンとホルンで和音が少し乱れたのが気になった程度。曲が終わって、指揮者が最初に立つよう合図するのは小谷口さんへかと思っていたら、高山さんにだった。フルートが続き、小谷口さんは3番目。

客演コンマスの荻原尚子さんは、かなり存在感がある。今もWDR交響楽団(ケルン放送響)のコンサートマスターなのかな?

終演後、いつものように団員さんが並んで「ありがとうございました。」と挨拶をしてくれていた。客商売と言えば客商売なので、けっこう大変だ。わたしもつい感謝のことばを返していた。


2016年9月22日木曜日

アンサンブル金沢 アシュケナージ バウゼ ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 交響曲第7番 2016.9.22

★★★★★

オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演

2016年9月22日(木) 14:00 開演 ザ・シンフォニーホール

[指揮]ウラディーミル・アシュケナージ
[ピアノ]ジャン=エフラム・バヴゼ
[管弦楽]オーケストラ・アンサンブル金沢

武満徹:弦楽のためのレクイエム

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 op.37
  ピアノアンコール ピエルネ:演奏会用練習曲 op.13

ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92
  アンコール シューベルト 楽興の時 より 第3番

A 7,000円 B 5,000円 C 3,000円

9割余りの席が埋まっていた。売れ残りか、それとも招待客が来なかったか?
A席は7000円。大阪はお金持ちが多いということか。
私はC席3000円。しかし、ステージ横の3階で(R)、トランペットやコントラバスは見えないものの、その他は見渡せ、アシュケナージさんの指揮ぶりも概ね真横から見ることができ、なかなか良い席だと思う。

武満さんの音楽は、どれを聴いてもよくわからない。しかし、弦楽合奏は、かなり緻密だ。
バウゼさんのピアノも素晴らしい。根っこがある音で、時にたくましく、時に輝く。さすが、名だたる指揮者たちと共演を繰り返しているだけのことはある。
交響曲も、申し分がない。
さすが岩木さんが育てたオーケストラだ。

欲をいうと、協奏曲と交響曲で何回かホルンの音が汚かったのを、何とかしてほしかったが。

アシュケナージさんは、礼儀正しさに加えてけっこう茶目っ気もあるようで、拍手に答えて3回深いお辞儀をし、更に団員に促されてP席側にも3回深いお辞儀をしていた。

そうそう、休憩時間にホールの裏手にいったら、7~8人の団員さんが喫煙していた。


2016年9月19日月曜日

大阪フィルハーモニー交響楽団 大植英二 ブルックナー 交響曲第9番 他 2016.8.25

小倉朗     ★★★☆☆
ブルックナー ★★★★☆

2016年8月25日(木) 26日(金)
19:00開演(18:00開場)
フェスティバルホール

<指揮>大植英次
<曲目>
小倉朗/管弦楽のための「舞踊組曲」
ブルックナー/交響曲第9番 ニ短調 (ノヴァーク版)


大植さんの指揮なので、正直、期待しないで行った。幸い、招待券が入手できたので。

しかし、今日のブルックナーはなかなかのもの。
昨年聴いた大阪交響楽団・児玉さんの演奏よりは落ちると思うが、それでも、天上からの響きが聞こえていた。
今日はホルンの高橋さん、調子悪かったのかな。時折へっと思わせる音も出ていた。ヴァイオリンのピチカートもあまりきれいではなく、時にアンサンブルも若干の乱れ。

今日も大植さんは、暗譜。

京都市交響楽団 五嶋みどり 広上淳一 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 他 2016.9.11

チャイコフスキー ★★★★★★(通常★5個までだが、これを凌駕しているので6個とした)
リムスキー=コルサコフ ★★★★☆

日時:2016年9月11日(日)2:00pm 開演

会場名:京都コンサートホール・大ホール

出演者:広上 淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
五嶋 みどり(ヴァイオリン)

曲目等:モーツァルト:歌劇「後宮からの逃走」序曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ヴァイオリンのアンコール : バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ2番サラバンド
                        同3番からプレリュード

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
オーケストラのアンコール : 武満徹 3つの映画音楽 から ナンバー3 他人の顔ワルツ

完売ということだが、1割程度は空席。
招待された人が多く、しかも、招待されても来なかった人が多かったのではないかな
私の席は、3階右バルコニーのやや後方

チャイコフスキー
冒頭から、五嶋さんのヴァイオリンは、すごい。
音色、響き、魂。すべてを満たし、素晴らしい。全ての音が生きている。大音量ではないが。
日本人では、諏訪内さんをも超えているだろう。日本人で五嶋さんの右に出る人はいないのではないか。
バッハも申し分ない。心をつかんでいる。
ヒラリーさんとはまた違った雰囲気もあり、甲乙つけ難いところだ。

金管が少し乱れたのが残念
それと、チャイコフスキー、1楽章が終わったところで拍手がたくさん。スポンサーの招待客が多かったのだろうな。

リムスキー=コルサコフ
無難な演奏






タカーチ弦楽四重奏団 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第2,4,14番 2016.9.19

★★★★☆

2016.9.19

タカーチ弦楽四重奏団

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第2,4,14番

芸術文化センター 神戸女学院小ホール

A ¥4,000/B ¥3,000

確か、先行予約会員の予約解禁日の昼休みに電話すると、もうほとんど席が残っていなかったような記憶がある。
4000円の席はなく、3000円のステージ後方の席としたと思う。

しかし、後方でも、1st violin と violaは真横から見えるので、悪くはない。
viola が女性の他は、3人とも男性。

演奏は、すこぶるよい。オーケストラだと、外したり揃わなかったりで、ストレスを感じるが、そのようなことは全くない。

超一流といっていいのだろうか。

ただし、深い精神性までは感じることができなかったのが心残りだ。

この演奏で3000円、激安といっていいだろう。