2015年10月21日水曜日

大阪交響楽団 第197回定期演奏会 篠﨑靖男(篠崎靖男) 金子三勇士 プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 シベリウス 交響曲第1番 他 2015.10.21

細川俊夫    ★★★☆☆
プロコフィエフ ★☆☆☆☆
シベリウス   ★★★★☆

2015.10.21

[指揮]篠﨑靖男
[ピアノ]金子三勇士
[管弦楽]大阪交響楽団

細川俊夫:セレモニアルダンス
セルゲイ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調op.26
ヤン・シベリウス:交響曲第1番ホ短調op.39

アンコール(ピアノ) バルトーク ハンガリーの5つのスケッチ 第1曲

ザ・シンフォニーホール

席 3階バルコニー RRC 指揮者の横 1,000円(高い席は6,000円)
この席は固定椅子ではないため、後ろに動かせる。足を自由に伸ばせるので、とても座りやすい。
聴衆が座っている席は、全体の7割くらいか。バルコニー席は1~2割しか座っていない。
前回の児玉さんのブルックナーがほぼ満席だったのとは雲泥の差だ。

細川さんの曲
不思議な雰囲気で、雅楽の匂いも感じさせる。悪い感じではない。
弦楽合奏だが、ピチカートが時に微妙にずれていたように聞こえた。冒頭を含み。

プロコフィエフ
最初のクラリネットソロ(首席の村瀬司さん)の音色が素晴らしいのに驚いた。ふくよかであり、芯はしっかりしていて透明感もある。しかし、2nd が入るとアンサンブルが乱れ、外れたような音も聞こえたりして興ざめ。
1楽章のピッコロは、音楽ではないような聞こえ方だった。
1楽章の聞かせどころのカスタネットは、ピアノと拍が目立ってずれていたと思う。何故?
ピアノは、「ひ弱」という印象。力強さはもちろん、繊細さも感じられない。聞こえるべき音も聞こえなかったような気がする。ただし、アンコールのバルトークはよかった。光と影。力強さと繊細さも感じられた。
篠﨑さんは頑張っていたが、残念だった。

シベリウス
この曲が名曲だということや、フィンランディアと同時期に作曲されたのだということを認識できるなかなかの演奏だ。指揮の篠崎さんは素晴らしい。オーケストラがもう少ししっかりしていれば名演になった。出だしがそろわなかったり(弦のみのときも含めて)、指揮者の音を止めるようにというような指示があってもすぐに止まらない楽器があったり、ホルンから微妙な音が出たり、終楽章のティンパニのトレモロが、最初はゆっくりでだんだん早くなる不自然さ(作曲者の指示? しかし、他の演奏を聴くと、今日のような極端な変化は聞こえない)があったりしたところが耳障りだった。
曲自体は堪能できたので、よしとしよう。
8月に聞いた藤岡さん指揮、関西フィルの演奏ではこの曲の良さが伝わらなかったが、その不全感は解消された。篠﨑さんの力量はたいしたものだ。






2015年10月16日金曜日

イーゴリ公 ブルガリア国立歌劇場管弦楽団&合唱団&バレエ

★★★★☆

2015.10.15

指揮 グリゴール・パリカロフ
イーゴリ公 スタニスラフ・トリフォノフ
ヤロスラーヴナ ラドスティーナ・ニコラエヴァ 
ガリツキー公 アレクサンダル・ノスィコフ
コンチャク汗 アンゲル・フリストフ た
出演 ブルガリア国立歌劇場管弦楽団&合唱団&バレエ

ボロディン

兵庫県立芸術文化センター

席 2階最前列R寄り 15,000円(5,000~15,000)
全体像はわからないが、2階は9割くらいの入りか。全体では9割余りかな。

最後がダッタン人の踊りというカンターロフ版(カンターロフさんは、ブルガリア国立歌劇場総裁らしい)

全体的には、かなりよい。歌手の存在感もある。ここでも、多くの日本人歌手とは比較にすらならない凄さがあった。
最後のダッタン人(ポロヴェツ人)の踊りは圧巻。1階前方で見るとかなりの迫力だったのではないか。2階からは全体像が見えるという利点はあるが、なにせ、距離がある。
オーケストラがもう一つだったのが残念。精緻ではなく、時にアンサンブルも乱れる。トランペットの音が詰まった感じになったことやチューバの音が出すぎたりしたことも。ホルンの音色はよかったが。






2015年10月13日火曜日

ワーグナー ラインの黄金 飯守泰次郎 ユッカ・ラジライネン シモーネ・シュレイダー ステファン・グールド 東京フィルハーモニー交響楽団

★★★★☆

2015.10.10

ワーグナー ラインの黄金

新国立劇場

指揮 飯守泰次郎

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
Wotan : Jukka Rasilainen

ドンナー:黒田 博
Donner : Kuroda Hiroshi

フロー:片寄純也
Froh : Katayose Junya

ローゲ:ステファン・グールド
Loge : Stephen Gould

ファーゾルト:妻屋秀和
Fasolt : Tsumaya Hidekazu

ファフナー:クリスティアン・ヒュープナー
Fafner : Christian Hübner

アルベリヒ:トーマス・ガゼリ
Alberich : Thomas Gazheli

ミーメ:アンドレアス・コンラッド
Mime : Andreas Conrad

フリッカ:シモーネ・シュレーダー
Fricka : Simone Schröder

フライア:安藤赴美子
Freia : Ando Fumiko

エルダ:クリスタ・マイヤー
Erda : Christa Mayer

ヴォークリンデ:増田のり子
Woglinde : Masuda Noriko

ヴェルグンデ:池田香織
Wellgunde : Ikeda Kaori

フロスヒルデ:清水華澄
Flosshilde : Shimizu Kasumi

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


席 2階の最も後ろ 真ん中あたり 21,600円


歌手は、ユッカ・ラジライネン、シモーネ・シュレーダー、ステファン・グールドをはじめとして、みなさん凄い。日本人歌手もひけをとらずに渡り合っていた。オーケストラも破たんがない。
ただ、前回もそうだったけれど、飯守さんのワーグナーは、私との相性があまりよくないようだ。もっと官能的で、艶やかな演奏を期待してしまうが・・・ もっとも、この楽劇は、トリスタンとイゾルデよりも前に作曲されたそうなので、今回のような演奏で良いのかもしれない。

そうそう、この楽劇は全1幕だ。
1幕というのは、聴く(観る)側にとっても、きつい。とくにこの劇場はレッグスペースが狭く、エコノミー症候群になりそうだった。


2015年10月10日土曜日

京都市交響楽団 広上淳一 ソン・ヨルム プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 シューベルト グレート 他 2015.10.9 第595回定期演奏会

★★★★☆

第595回定期演奏会

日時:2015年10月9日(金)7:00pm 開演

出演者:広上 淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
ソン・ヨルム(ピアノ)

ベルリオーズ:序曲「海賊」op.21
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調op.26
シューベルト:交響曲第8(9)番ハ長調「ザ・グレイト」 D.944

アンコール カブスキン エチュード

会場:京都コンサートホール・大ホール
席 3階 RC 2列目 3500円の定価から、確か1割の会員割引。
ピアニストの顔が見える時間は全体の4分の1くらいか。
ピアノ協奏曲の場合、ソリストを見たいならP席にすべし。

8割5分程度の入りか。このプログラムは金曜日の1日のみの公演なのに、寂しい限り。昨年の、連日売り切れがなつかしい。プログラムも良いと思うが、なぜだろう。営業努力!

さて、本題。
京響は、広上さんが指揮をするときはいつも素晴らしい演奏をする。アンサンブルの乱れはなく、金管の破たんも殆どない。盛り上がりや感動を呼ぶことも少なくない。
本日も、このセオリーは、生きた。
広上さんがいうように、確かに世界水準だ。ただし、ほかの人が指揮するときは必ずしもそうではない。

ベルリオーズ。なじみがなかった曲だが、心地よい演奏。曲も興味深い。

プロコフィエフ。ソン・ヨルムさんは、器用だけれども、もう少し力強さと、音の透明感やきらめきがあった方が良いように思う。良い演奏ではあるけれど、つい、なじんでいるアルゲリッチさんと比較してしまう。もう少し繊細な曲の方が似合うようだ。アンコール曲はとてもよかった。あと、グリーンの背中を出したしどけないドレスはよい趣味だ。おなかもスリム。(ヒラリーさん、ごめんなさい。)
京響も、そつなくこなし、クラリネットの出だしから、管楽器、弦楽器の破たんもなかった。

シューベルト。心地よい、平和と喜びの演奏。ただし、もう少しドラマチックだったらな、という気持ちは残した。

シューベルトは、拍手が速すぎる。少し余韻を味わってからの拍手としてほしい。音が切れる前の拍手は最悪だ。

そうそう、今日初めてすり鉢型の配置にしたとプレトークで広上さんが言っていた。そうした方が音がよくなると確信している様子。客演のときもこのすり鉢型としたいということだ。
こちらは3階バルコニー席なので、音響的にはあまり関係ないような気がするが、奏者の様子が他の奏者に遮られることが少なくなったようで、喜ばしい。

2015年10月3日土曜日

ロンドン交響楽団 ハイティンク ペライア ブルックナー 交響曲第7番 モーツァルト ピアノ協奏曲第24番 2015.10.3

★★★★★★5個を凌駕しているので6個とした)

2015.10.3

[指揮]ベルナルト・ハイティンク
[独奏]マレイ・ペライア (ピアノ)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)

京都コンサートホール

席 P席真ん中あたり 11,000円(S20,000円 A17,000円 B14,000円 C11,000円 D8,000円)
 会員価格9,000円

P席真ん中付近は、ピアニストの横顔と両手もよく見える席だ。ヴァイオリニストには不向きな席だろうが。
2階(普通は1階というのだろうな)の後ろ左右と3階(普通は2階というのだろうな)のかなりの部分が空席。8~9割しか入っていない。いずれ京都や大阪ではこのクラスの興業をできなくなりそうだ。
昨日のウィーンフィルの時に見かけた高級そうな衣服をまとっている聴衆は多くはない。

モーツァルト
キラキラするような、こぼれるような音色で、繊細に奏でられていた。一昨日のウィーンフィルの23番とはかなり違い、心に響く。23番の方が繊細な曲という印象があるが、24番もこんなにも美しく輝くとは。これが一流どころの演奏ということか。
何度も拍手で呼び戻されてペライアさんも少し疲れたようだ。

ブルックナー
これがお手本ともいえる演奏だ。時間は67分くらいで標準的か。
重厚さ、天国的な金管の響き、弦の心地よい響き。深くしみわたり突き動かすような演奏。よく日本のオーケストラにある、拍がひどく合わないということや(微妙なときはあったが)、聞き苦しい音が聞こえるということもなく。国内管弦楽団とは次元が違う。ただ、ホルンの音色も素晴らしい。トランペットとワーグナーチューバが少し雑な感じがしたのが残念。(3楽章、トランペットの「ソーソソシー」のソーソソがつながってしまったところが一か所あったようだ)

ハイティンクさんは、86歳という。信じられない年齢だ。86歳でここまでやれるとは。超人という言葉を思い出す。ブルックナーの時は椅子を用意し、楽章の間に少し座っていた。100歳まで毎年関西に来てほしいと思う。(思いのほか楽譜の方を見る時間が長く、モーツァルトは半分、ブルックナーは4分の1くらい見ていたように思う。)

対向配置。譜面をめくったあとに弓で譜面を押さえるチェロの奏者が何人か(女性も)いた。

隣の植物園



ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 クリストフ・エッシェンバッハ モーツァルト ピアノ協奏曲23番 交響曲第41番 ほか 2015.10.3

★★★★☆
(モーツァルトの交響曲だけなら5つ)
(協奏曲は3つ)

2015.10.2(金)

オーケストラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮・ピアノ/クリストフ・エッシェンバッハ

曲目/モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K. 488
   プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調 op. 25 「古典交響曲」
   モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」

  アンコール モーツァルト 交響曲第34番 第3楽章

場所 フェスティバルホール

席  3階 7列目 真ん中よりL寄り C席21,000円(3番目) (9,000~35,000)
3階は、3,4列目あたりに空席が目立った。多分、26,000円のB席ではないかな。他の階の様子はよくわからないが、見える範囲の空席はなかった。9割くらいは入っていたのかな。
今日の席は許容範囲だ。意外と舞台は大きく見え、上に張り出し等もない。

モーツァルト ピアノ協奏曲
ピアノの音の輝きやこの曲に期待する繊細さや透明感がなく、やや重い感じ。1楽章の最初の方では、私の感覚からすると、ホルンの音が大きすぎ調和を乱していた。もっとも、ホルンの音を大きめにするのがエッシエンバッハさんの好みなのかもしれない。3楽章ではピアノ(私は素人だが)に?を感じた部分が何回かあった。
弦はとてもよかった。あの音色、とくにきらめくような高音部は、他では聞けない。

プロコフィエフ
きびきびとした演奏。この曲、ウィーンフィルではもったいない感じだ。(ごめんなさい、プロコフィエフさん。他に何曲も傑作を作曲していますよね。)

モーツァルト 交響曲
これは、なかなか良かった。ときに宇宙を感じることもあった。ただ、がっちりとした重厚さが十分には感じられない。この曲は、大地に根ざした重厚さが宇宙と響きあう、といったイメージなのだが。ここでも、弦は、素晴らしかった。
ピアノ協奏曲と同じく、ファゴットが絶妙だった。音色といい、音の大きさといい、響きといい、申し分がない。エッシェンバッハさんが受け取った花束を、ファゴット1stの女性に渡したのもわかる気がする。(もっとも女性奏者は、ファゴット1stと、オーボエ2ndの2人だけだったが)

アンコールについては、ないと思っていたが、あったのでびっくり。交響曲41番が終って、その余韻とうまく調和する絶妙な選曲だ。(本質からは外れると思うが、どちらの交響曲にもクラリネットがないという共通点もあるな。)

星が4つとなってしまったのは、もともとの要求水準が高いということも反映している。また、私の感覚としては、去年のドゥダメルさんには及ばない、ということもある。

エッシェンバッハさんは、楽譜を出さずに指揮。74歳という年齢を感じさせない指揮ぶりだ。1stヴァイオリンを向くことが多かったのが印象的。(対向配置)