2015年9月28日月曜日

大阪交響楽団 児玉宏 ブルックナー 交響曲第9番 他 2015.9.28

★★★★☆

2015年9月28日(月)19:00開演
ザ・シンフォニーホール

指  揮 : 児玉 宏(音楽監督・首席指揮者)

フランツ・リスト    : 交響詩「オルフェウス」 
リヒャルト・ワーグナー : ファウスト序曲      
アントン・ブルックナー : 交響曲 第9番 ニ短調
              ノーヴァク版(1951年)

席 右側3階バルコニー 最上段 1,000円
(1,000円~6,000円)
席の埋まり具合は8割5分くらいか。

リストは、情感をうまく引き出していた。コンマスさんのソロもとてもよかった。
ワーグナーも、悪くない。
児玉さんのブルックナーの表情の作り方やテンポは、共感できる。オーケストラも、大きな乱れなく、指揮に促されるように演奏していた。
ただ、大音量で鳴るものの重厚感に欠けるところや、天国的な金管の響きがなかったところ、音の一体感に難を感じる場面もあったことなどは残念だ。
この曲、実はオーボエが活躍する曲だということを生で聞くと実感できた。

児玉さんは、ブルックナーの2楽章、途中からスコアをめくらなくなり、2楽章が終わった後に一気にめくって3楽章にはいっていっていた。そうそう、タクトで時折前を突くようにしていた。つい手が緩んで先端から飛んでいかないかと少し心配だった。トスカニーニのタクトが飛んで、楽団員の目に当たり、失明したという話(真偽はわからない)を思い出してしまった。

これが、ブルックナーシリーズ11回目で、最後だそうだ。当分児玉さんのブルックナーを聴けないとすると、残念。

プログラムを見ると、エキストラの人の方が多いが、質の高い人たちをよく集められたものだ。

この内容で1,000円。1,000円の価値はとても高かった。








2015年9月23日水曜日

英国ロイヤル・オペラ 「ドン・ジョヴァンニ」 2015.9.23

★★★★★★5個が通常の最高だが、これを凌駕しており、6個とした)

英国ロイヤル・オペラ 「ドン・ジョヴァンニ」

指揮 アントニオ・パッパーノ(英国ロイヤル・オペラ音楽監督)

ドン・ジョヴァンニ  イルデブランド・ダルカンジェロ
レポレロ  アレックス・エスポージト
ドン・オッターヴィオ  ローランド・ヴィラゾン
ドンナ・エルヴィーラ  ジョイス・ディドナート
ドンナ・アンナ  アルビナ・シャギムラトヴァ
ツェルリーナ  ユリア・レージネヴァ
マゼット  マシュー・ローズ
騎士長  ライモンド・アチェト

管弦楽 ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

合唱 ロイヤル・オペラ合唱団

日時 2015.9.23 午後5時開演(祝日)

会場 兵庫県芸術文化センター

全部を見渡せなかったが、2階の左右にそこそこ空席があったと思う。5万円の席だろうか。しかし、9割5分くらいは埋まっていたのではないか。東京は満席かな。

席 D 29,000円 3階4列目R側の端 3D 54 前の人と互い違いになっていて、視線が遮られないような設計だ。
音響的には悪い席と思うが、許容範囲。双眼鏡があれば、舞台もよく見える。
ちなみに A \50,000/B \43,000/C \36,000 D \29,000/E \22,000/F \15,000

さて、本題
歌手、オーケストラともに申し分がない。他の団体の公演とは、次元が違う。全ての歌手が素人耳にも高水準。声量、声の美しさともに超一級だろう。(ほとんどの日本人歌手は、歌手とはいえないように思える。)オーケストラも美しい。金管もよく溶け込んでいて、聞き苦しい点は皆無。
演出も嫌味な感じはなく、悪くない。

高いけど、価値はあった。

指揮のパッパーノさんは、チェンバロも奏でていた。途中、マンドリンが活躍したのが印象的。トランペットのお二人は、一時ビットから引っ込んでいて、出番が近づくと戻っていた。

エルヴィーラ役のディドナートさんは、両胸を後ろからわしづかみされ、もまれていた。ハンガリー国立(フィガロ)の時も、胸をまさぐられる場面があった。わりとよくある演出なのだろうか。






2015年9月19日土曜日

京都市交響楽団 タン・ドゥン  モルダワ 水の協奏曲 ウォーター・ドリーミング 4つの海の間奏曲 2015.9.19

★★★★★

スメタナ:交響詩「モルダウ」
タン・ドゥン:水の協奏曲~ウォーター・パーカッションとオーケストラのための(武満徹の追憶に)~
武満徹:ウォーター・ドリーミング~フルートとオーケストラのための
ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」から「4つの海の間奏曲」op.33a

タン・ドゥン(指揮)
藤井はるか(パーカッション)
中山航介(京響首席打楽器奏者/ウォーターパーカッション・アシスタント)
福山直子(京響打楽器奏者/ウォーターパーカッション・アシスタント)
清水信貴(京響首席フルート奏者)


京都コンサートホール・大ホール

右側2階バルコニー28
5000円(S¥6,000 A¥5,000 B¥4,000 C¥3,000)
水の協奏曲は、見た目も楽しそうなので、いつもより奮発した。正解。

お客さんの入りは、8割強くらいか。なじみの少ない曲が並んでいるからだろう。
そうそう、今日は、小谷口さん、高山さん、中野さんはお休みだった。

タン・ドゥンさんは、にこにこ顔で、親しみを感じる。

モルダワ。
名演。最初のフルートからうっとりする。昨日の大フィルとは違うなと思いつつ聴いていた。中川佳子さん、とてもよい。曲の表情、緩急、運び方も申し分ない。こんな素晴らしい曲だったんだ、と感じさせる演奏だ。煩悩が洗い流されるような気がする。タン・ドゥンさんも、目立った指示を送るタイプ。それも楽しめる。

水の協奏曲。
途中、少し単調に感じるところもあったが(単調な刺激の反復は眠気を催させるというのが通説のようだ。)、見た目も楽しめる曲だ。最前列に、打楽器奏者が3人。真ん中と両端。それぞれが水を入れた大きなボウルを前に、水を使って奏でる。まず、観客席の藤井さんが、水のような音を出しながら(金属製のポットのような形のものを弓でこする)、舞台に進み、舞台に上がる。斬新。
残念ながら福山さんは見えない位置だったが、中山さんはよく見える。しかし、練習、たいへんだったろうな。確かに水。汚れのない水。

ウォーター・ドリーミング。
武満さんの曲は、これまであまり楽しめたことがない。しかし、この曲は不思議なリラックスに導く。宇宙に流れる生命の水がテーマらしい。

4つの海の間奏曲も、なじみのない曲だが、よい表情で演奏してくれた。

京響も、今日は、非常に安定していた。
終わったあとの藤井さんの笑顔が印象的。
また、ウォーター・ドリーミングが終わった後の中川さんの高らかな拍手も印象的。清水さんの演奏が素晴らしかったということだろう。

京都の秋の音楽祭始まる


ホールの隣りの植物園






2015年9月18日金曜日

大阪フィルハーモニー管弦楽団 大植英次 マーラー 交響曲第3番 2015.9.18(金)

★★☆☆☆

2015年9月17日(木) 18日(金)
19:00開演(18:00開場)

<指揮>大植英次
<独唱>ナタリー・シュトゥッツマン(アルト)
<女声合唱>大阪フィルハーモニー合唱団
<児童合唱>大阪すみよし少年少女合唱団

<曲目>

マーラー/交響曲 第3番 ニ短調

フェスティバルホール
席2階の最後列 右寄りの7-55
C席 4000円(学生席を除くと、6000~4000円)

ほぼ満席のようだ(3階は見えないが)

冒頭からホルンのアンサンブルの乱れが気になってしまった。その後も時折ホルンのアンサンブルの乱れ。気になり、曲に没入できない。

大植さんの指揮は、去年のマーラー6番と同じ感じで、きれいに聴かせようとしているが、深みに欠けるという印象。
指揮ぶりは、わりとかっこいい。動きがしなやかで、適宜合図も出し、時にコントラバスの方に体全体を向け、時に第一ヴァイオリンの方に体全体を向ける。スコアを譜面台に置いているが、開かない。(何のために置いているのかな。)ただし、ときおり左手でスコアに触り、だんだん左側にずれていっていた。 

高橋将純さんのホルン、ロイド・タカモトさんのトロンボーンは、素晴らしい。ステージ外からのポストホルンも良い音色で格別な味わいだった。アルトのナタリーさんも味わいのある歌声だった。個別的にはよいのだが、全体となると・・・

木管の音色は、好みと違う。どの楽器の音色も京響の方がよいな。

ブラボーという声がけっこう聞こえたが、違和感を感じた。まあ、好みは人それぞれだ。





2015年9月10日木曜日

神戸スーパーソロイスツ ストラヴィンスキー 兵士の物語 2015.9.9

★★★★☆

朴 守賢/Happiness is... 神戸文化ホール委嘱作品(世界初演)
ストラビンスキー/兵士の物語 

神戸スーパーソロイスツ
  ヴァイオリン 萩原合歓
  コントラバス 長谷川順子
  クラリネット 上田浩子
  ファゴット   首藤元(京響)
  トランペット  西島健史(京響)
  トロンボーン 村井博之(京都フィルハーモニー室内合奏団)
  打楽器    高鍋歩(シオン・ウィンド・オーケストラ)

 語り 木内晶子
 兵士 真田幹也
 悪魔 野村たかし
   
中ホール。客は半分くらいか。寂しい。
3500円。自由席

パクさんの曲
 曲の感じは悪くなく、各楽器の躍動も感じる。が、happiness という雰囲気には感じられない。トロンボーンが活躍したsmile は、smileという気もしたが、他はちょっとそぐわないような・・・・ 

兵士の物語
 俳優さんはマイクを装着。音質はかなりすっきりはっきり。
 演奏は、かなりよい。7人だが、かなり広がりのある音を奏でていた。
 とりわけヴァイオリンの音色がとても気に入った。時に暖かく。時に乾いた感じで。時に力強く。
 トロンボーンは、かなり輪郭のはっきりした音を出す。ホルンが入るより良いように思える。
 ただし、トランペットが、弦+木管とずれてたようなところが少しあったような気がするところは残念。
 物語としては今一つかな。楽しめるには楽しめるが。

2015年9月6日日曜日

京都市交響楽団 カサドシュ 萩原麻未 マ・メール・ロワ ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調 火の鳥 他 2015.9.6

★★★★★

日時:2015年9月6日(日)2:30pm 開演


出演者:
ジャン=クロード・カサドシュ(指揮)
萩原 麻未(ピアノ)

曲目等:

ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
  アンコール ドビュッシー アラベスク第1番

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)


会場名:京都コンサートホール・大ホール
席 3階RD1-3
ちょうどピアニストの顔がよく見える位置。左右に少しずれても大丈夫。2階の同じ位置でも大丈夫だろう。
定期で買うならこのあたりがいいな。
席は7~8割埋まっていたのみ。
うまく宣伝してください。もったいない。

プレトークでは、プレトークの経験がないと言いながら、たくさん話してくれた。祖父が音楽家。父は会計士だったが夜は音楽会に出演してギャラをもらっていた。子供たち(10人といったかな)を音楽家にしようと思い、音楽会を終えて帰宅すると子供たちを起こし、音を鳴らして、「今の音は?」と答えさせ、間違えると、叩いた。おかげで絶対音感ができて、音楽家になれた。(絶対音感は不要という人もいるが、実際どうなんだろう。例えば420Hzで絶対音感ができていたとして、422Hzを基準とする場合は、かなり困ることにはならないのだろうか?)
お母さんは今101歳。女優で、もう舞台には立たないが、映画には出演している(すごい)。きょうだいは、作曲家、俳優、画家(だったかな)などなど皆芸術関係に進んでいるという。
開演前に集中したいということで、長めのプレトークを終わった。

カサドシュさんは、楽譜を置くが、あまり見ず、ページをめくるタイプ。これが指揮者の王道のような気がする。左手の指示もけっこう細かい。

まず、マ・エール・ロワ。
煩悩を吸い取ってくれるようなふんわりした演奏。名演と言っていい。

ラヴェルのピアノ協奏曲。
萩原さんは、素晴らしい。姿勢は力技的で、硬い表情で演奏するが、音は宝石のよう。特に2楽章はうっとり。アルゲリッチさんにも負けないような演奏。この曲、最初に鞭の音を入れたのは独創的だと思う。
この曲、生で聞くと、トランペットが活躍するのが印象的だった。早坂宏明さん、いい仕事をしていた。

アンコールのアラベスクも申し分がない。
ただ、萩原さん、深いお辞儀はよいが、軽いお辞儀が様になっていない。舞台への出入りも、20歳くらいの女の人が小走りを交えながらきゃぴきゃぴと出入りしているような風情。まだ、風格がない。誰かお辞儀の姿勢や歩き方を教えてあげればいいのに。この前見たリムさんは、すでに風格があった。

牧神は、指揮者が構える前に、フルートが鳴りはじめたので驚いた。フルートが鳴り始めて少しすると、タクトが動き始めた。カサドシュさんの考えなのだろうが、かなり感心した。演奏も高水準。ぼおっとしながら官能にひたる牧神か。

火の鳥。
悪くはないが、一度、ホルンのソロの入りが濁ったのが気になってしまった。中野さんのファゴットがとてもよい。

総じて、高水準の演奏だった。